ねぇ、知ってる?
神田さんって人を殺してるんだって!
聞いた、聞いた!
他にも薬やってるんでしょ?
あーネットに流れてたよね。
し・か・も!
栄子様まで殺そうとしたらしいよ!?
うっそ!?
栄子様は大丈夫だったの?
東様が排除したらしいって!
そっかぁ、でも怖いね…
噂って怖いわね。
でも全部真実(ほんとう)の事だから否定も出来ないのが辛い所かしら?
自業自得って言葉知ってる?
「そんな顔で睨まれても怖くないんだけど、ね。神田愛美さん?」
私を睨むのはお門違いでしょう?
と言外に問えば神田は更に睨んできた。
周囲が見えてないって素敵だね。
ほら、学校の生徒が君を見ているよ?
「アンタが!アンタが!全部悪いのよ!マナの物を盗るからいけないのよ!どうしてマナがこんな目に遭わなくちゃいけないわけ?」
ヒステリックに叫ぶ神田に私は困ったような顔をした。
勿論、演技だけど!
さてクライマックスといきましょうか!
幕引きはキチンとしないと面白くないでしょう?
「世界は君を中心に廻っているわけじゃない。君の家柄程度で私を潰そうなんて馬鹿馬鹿しい事この上ない話だ。」
一歩一歩神田に近寄った。
「君は自分の欲しい物を手に入れる為に何人の少女を犠牲にしたんだい?そして彼等に取り入るのに失敗したのを私のせいにして殺そうとしたのは君だろう。全部証拠は揃っているんだよ?」
彼女だけに聞こえるように
「この人殺し!」
この世で一番言われたくないだろう言葉を投げかける。
面白いぐらいに反応を返してくれた!
「マナは!マナは悪くないもん!アイツ等が勝手に自殺しただけでしょ!マナのせいじゃないもん。パパがそう言ったんだから!!」
ドンっと階段から突き落とされる。
宙に浮いた身体は速度を増して床に叩き付けられた。
受身は取っているけどね、痛いものは痛いんだよ。
それにしても見境が無いって凄いね!
これで君は殺人未遂の犯人だ!
君が恋する王子様は私の手の内にあるんだよ。
ほら、君を押し退けて私の元へやってきた。
憎悪と殺意を滲ませた眼で私を見ている神田に私は口パクで
『勝者は私だ!愚か者。』
と宣言してやる。
半狂乱になって愛する男から殴られる味は何の味かな?
その後?
きちんと病院に運ばれて数日入院したぐらいだよ。
神田は社会的抹消されているんじゃない?
落魄れて身体売るぐらいしないと生きていけない状況に冷涼が追い詰めたからね。
彼女を受け入れる所なんて世界の何処を探してもないさ。
あるのは闇の世界だけだろうね。
あーあ、GAME OVERだね、神田愛美。
血に濡れたバレンタインも中々愉しかったよ!
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