パシッっと叩かれた頬が熱を帯びて痛い。
絶対零度の飴色の双眼が俺を睨んだ。
えー、何故だい?
仮にも俺はアンタの婚約者で、腹の中にはお前の子供を宿っているんですけど!
しかも得たいも知れない少女の肩を抱いているって、孕ませといて早速不倫かよ!
そりゃ無いぜ!
だったら最初から抱くんじゃねー(怒)
俺は(心は)男だ!
正式に婚約者となって速攻手を出した分際でっ死ねば良いのに!
と叫びたいがチキンの為、断念。
「…綱吉さん、婚約者の私にその振舞い…どう云うことですか?」
怒りのあまり声が震えるのも仕方がない。
「君が俺の婚約者だって?お目出度い頭をしてるね。婚約者は××だ。××を虐めてよくノウノウとボンゴレに居座っていられる図太さには呆れるよ!」
得たいも知れない少女を愛惜しそうに抱き締めて驚愕の事実を告げた。
おんどりゃ!無理矢理孕ませといて別の女が婚約者だと(怒)
怒髪天を突くとはこの事だと思った。
更に苛っとするのがヤリチン(綱吉)の腕に抱かれて守られているガキがニヤニヤと勝ち誇った顔をして笑っていやがることだ。
「ツナ、あの人が私を此処から出ていかないと殺すって…××、怖い…」
ウルウルと(キモい)涙目でヤリチン(綱吉)を見つめ哀願する少女。
そしてバカップルのように宥めるヤリチン(綱吉)。
死ねよ、お前ら。
と思っても確実に死ぬのは俺なので何も言わない。
痛いイチャつきが一段落した所でヤリチン(綱吉)が
「××を虐めた挙げ句、暗殺しようとするなんて、万死に値するよ。お前こそ死ねば良いのに…ねぇ?」
え、死亡フラグが立った?
「私は彼女を殺そうとはしてません。」
部外者がボンゴレの最重要フロアにいたらか注意しただけだ!
と主張しても
「犯罪者は皆そう言うよね。××が嘘を吐くわけが無いじゃないか。まぁ、お前は殺すよ。××、ちょっと怖いだろうけど耳を塞いで目を閉じてくれるかな?」
妊婦を殺す気満々かっ!
Xグローブ着用して、死ぬ気炎を灯すヤリチン(綱吉)。
万事休すと思った所で神は俺を見捨てて無かった!
パーン
と響く銃声に目を向けるとリボーン様が!
「マリア、無事か?」
凄く格好良く見えます!
今まで恐怖の代名詞にして済みません。
救世主です!
「はい、リボーンさんのお陰で無事です。」
そんな俺とリボーンのやり取りが気に食わないヤリチン(綱吉)が空気をぶち壊した。
「リボーン…そんな女を庇うって事は俺を敵に回す覚悟があるって事だよね?」
ドスの効いた言葉に
「ダメツナ、てめぇ、本気でそのガキが婚約者だと勘違いしてんじゃねぇだろうな?」
剣呑とした言葉で返すリボーンに
「はぁ?××は俺が決めた婚約者だ。リボーンこそ頭大丈夫か?」
完全にリボーンを見下した発言。
殺気が充満する室内でチキンな俺は必死になって
「リボーンさん、逃げましょう!」
リボーンの腕を掴んで逃亡した。
戦闘力皆無の俺を庇ってガチバトルは止めて欲しいからだ!
こうして俺は約一年に渡る逃亡劇を繰り広げる事となる。
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