転職 プログラマー 私はパイナポー | ナノ


望郷の彼方へ哀(あい)を込めて [ 3/16 ]

人生とは下らないの集大成である。

今まで生きてきた道程を否定するわけではないのだけれど、私が歩んだ人生はとてつもなく下らないのだ。

何が?と問われたら全てがと答えるだろう。

何処が?と問われたら生れ落ちた瞬間からだと即答するだろう。

適当に人生を謳歌し、適当にその辺の優良物件と結婚し、適当に二人子供を作って、適当に子育てをした。

そんな私の血を受け継いだ子供は、本音と建前を上手に使える賢い子供に育った。

例え中身が腐ってようとその手の趣味には文句を言わないさ。

ただね、私をその道に誘うのは止めて欲しかったよ。

夏コミ・冬コミ・春コミに加えてコス衣装等を手伝わされる身になれば、そんな道に目覚めて欲しくなかったね。

男同士のアレコレに対しても寛容になったさ。

良い男を見たらホモと思えと身に付いてしまった条件反射に私は泣いたよ。

そんなズボラな私がポックリと逝って記憶を保持したまま転生した時には口から魂が出るかと思ったよ。

女から男へ生まれ変わり、名前なんて一度も呼ばれたこと無いよ。

哀しいねぇ…とは思ってない。

だって名前が無くても生きていけるじゃないか!

しかし、第二のノッタリとした人生の転機が訪れた。

私が6才を迎えた頃に怪しいオッサン達に引き取られ打ち込まれたのは子供が沢山収容されている実験室。

ご丁寧に着けられたプレートは696だった。

嫌な予感がヒシヒシとするんですが!

そして予感は的中した。

左目を抉り出されプカプカ浮いた六と描かれた赤い目玉を突っ込まれた時には死ぬかと思った。

そして何で私が六道骸の立場にいるねん!

と思わず突っ込んだ。

条件反射なので致し方ない。

激痛と苦痛ばかりが全身を支配した。

キモイ目玉には怨念が宿っているのか

殺せ

殺せ

恨め

怨め

憾め

壊せ

こわせ

コワセ

と煩いのだ。

問答無用で黙らせたけどさ。

そんな私を適合者と喜んでいるオッサン達には悪いが、どこが適合者なんだ?

と問い質してみたい。

まぁ、このまま此処に居れば違う実験に付きあわされそうなので、オッサン達をフルボッコにして逃げた。

途中生残り2人組みを回収したのはご愛嬌だろう。

これが私から俺になった瞬間である。


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