私はファレナ女王国に転生した。
様々な世界に転生し駆け抜けた人生を思えば、内乱が起きる世界じゃね?
と前世の記憶を引っ張り出して嘆いたのは致し方ないと思う。
厄介な事にリムスレーアの立場にいる私は必死で勉強したさ。
ファレナ女王国は絶対君主制ではなく制限君主制と判断した。
最低でも立憲君主制にしなければファレナの未来はない。
貴族の傀儡に成り掛けている国は母上であるアルシュタートと父上のフェリドの二人によって何とか支えられていると云っても過言ではない。
王位継承権を持つ私に権力が集中している事も問題があった。
また継承権がない兄であるファールーシュを蔑ろにする事は王家率いてはファレナを侮辱する行為であるという自覚が馬鹿(きぞく)達には無い事に頭を抱える。
だから私は出来の悪い我儘で世間知らずで甘ったれた傲慢な子供を演じる事にした。
何故か?
時期女王に相応しくないと思わせる為だ。
王族に相応しい態度を兄であるファールーシュが取る事で周囲の意識改革をする必要があるからだ。
無論、協力者はいる。
協力者無くしては私の未来予想図は描けないのだから。
「リムスレーア姫様、頼まれていたお召し物で御座います。」
王宮お抱えの服職人から差し出された服を控えていたミアキスが受け取った。
「あっら〜姫様、とっても綺麗に出来てますねぇ。」
シゲシゲと服を見て素直な感想を述べるミアキスに心の中で同意しながらも私は傲慢な王女を演じる。
「ふむ、ご苦労じゃった。」
ニッコリと笑顔で労いの言葉を述べた。
「勿体無きお言葉です。」
恭しく傅く職人に
「あぁ、もう王宮には来なくても良いぞ。」
傲慢な命令を下す。
蒼白になった職人が声を震わせながら
「お、恐れながら理由をお伺いしても宜しいでしょうか?」
尋ねて来たので
「新しく雇った服職人がおるのじゃ。そなた程の腕前なら他の貴族のお抱えになる事も出来よう。」
尤もらしい身勝手な一方的な命令を下した。
どんなに腕が良くても王宮に召抱えられた服職人が解雇されれば死ねと命令しているのと同じ事なのだ。
故に怒りで拳を震わせ沈黙を守る職人の怒りは無知な時期女王に向い、それを後に必ず救い上げるファールーシュに恩を感じ忠誠を誓う事になるだろう。
兄上に心酔する者達を増やさないとね。
ふふ、私は太陽の娘(おろかなどうけ)なのだから!