逝ってしまわれた。
太陽を、民を、未来をファールーシュ殿下に託し喪ってしまわれた私の主。
貴族に喰い散らかされたファレナ女王国を根底から改革(か)える為にリムスレーア様は全てを捨てざる得なかった。
愛する家族も民の信頼も全て時代の王に選んだスイフォン殿下の為に!
リムスレーア様は決して次期女王と云う地位に胡坐を掻かれていたわけではない。
先の見えない国の未来を誰よりも案じ、その幼い身でありながらファレナの為に死ぬ事を選んだ素晴らしい方だ。
上辺だけしか見てこなかった貴様等にリムスレーア様を罵倒する資格なぞない!
まだ理解出来ぬのか?
ファレナを毒する貴族達がゴドウィンを残して排除されていることを!
ファールーシュ殿下が討ち取る事で殿下の地位を確固たる物にする為の布石であるのに…
まだ視得ぬのか?
リムスレーア様が本気で抵抗されるのであればファールーシュ殿下の元に人が集まらなくするのが容易かった事を!
まだ我が主を罵倒するつもりか?
女王騎士でありながら民の暮らす地で争い火を着けた愚行の後始末をしたのは誰なのかまだ理解出来てないのか!
リムスレーア様は敢えて汚名を着て逝かれたのだ!
許せない!
リムスレーア様の護衛騎士でありながら傍を離れファールーシュ殿下の元へ降った裏切り者!
「ミアキス、貴様だけには誇り高き女王騎士を名乗る資格はない!いや、最早女王騎士などファレナには必要のない存在だ!しかし貴様が騎士を名乗るなど恥を知るが良い!」
リムスレーア様から賜った銀の剣が紅く染まった。
私はリムスレーア様との約束を果たさなければならない。
あぁ、それでも思うのです。
時が来たら私もリムスレーア様のお傍へ逝きます。
そしてファレナがどう発展したのかをお話したいと思います。
一番許せない罪人は、主であるリムスレーア様を一人逝かせてしまった私でしょう。