じゃく
ジャク
弱
寂
尺
世界に反逆する。
元・語部少女である私がこの世界に存在するだけで物語は大きく歪んでいるのだけれどね。
ん?
転生したに決まっているじゃないか!
毎回、毎回、毎回、拷問と思える乳幼児期を過ごし理不神が適当に見繕った馬鹿を躍らせ世界から排除したりするのが私の役目。
過去の自分を殴ってでも止めたいと思うよ…切実に!
好い加減、抹消してくれないかな?
私を。
理不神が飽きれば嘲笑って消すのだろうけど、兆候は見られず仕舞いだ。
語部を強制終了した時点で世界に融けるのだと思ってたのに色々な世界へ記憶保持したまま転生ってどんな拷問だよ。
まぁ、それはさて置き今回の世界の異物は愚者だった。
大抵は逆ハー狙いでトリップして来るんだろうけどね、ヒーローとヒロインを敵に回す愚者だとは思ってなかったよ。
世界。
それは一人のダメ少年がマフィアのボスに成長する物語。
でも主役は家庭教師なんだよね。
でもさ、世界の主軸はヒーローとヒロインとその他で成り立っているのだよ!
その地位や役割を奪ってはいけないんだ。
どんなに先の未来を織(し)っていてもこの世界はリアルで現実なのだから未来はいとも簡単に変る。
まぁ、彼女達の大半はそれを理解していないけれども。
理不神が気紛れに混ぜたAliceは、ヒーローとヒロインの地位を奪った。
全てを包み込む大空の少年は世界に絶望し涙を流す。
大空の少年と未来に結ばれる筈だった少女は愛を失い世界に見切りをつけた。
少年の名前は沢田綱吉。
少女の名前は笹川京子。
二人の世界へ反逆する瞳に魅せられた私は愚かな道化。
橘ハルキと云う名を持つ神の傀儡。
傀儡が支配する世界にクラスチェンジさせてしまおう!
「綱吉、京子、ご飯が出来たよ!」
ハルキと呼ぶ二人に私は笑った。
二人は私の家族だよ。
世界の反逆は静かに始まっている。
<狂気に魅せられた元・語部少女。表舞台に立つ事を嫌う彼女が立ち上がったのです。あぁ、何て愉しいのでしょう!予測不可能な未来を語部出来る事にわたくしは感謝致します。 著者:語部少女>
- 3 -
前 次