天譲日天狭霧国禅月国狭霧尊
理不神いわく、馬鹿な神が無知な小娘に人に過ぎたる力を与えて箱庭の世界に歪みを生じさせてしまったんだと。

現に一つの平行世界が壊れてしまったらしい。

そのまま世界自体壊れてしまっても私には問題はないのだが、理不神にとっては暇潰しの一つに過ぎる世界を自分じゃない高々人間の小娘の手で壊された事が赦せないのだとか!

神でもない癖に傲慢に恰も自分の力だと振るう姿に彼女が飛ぶ世界の先々で他の神々に見放されたのだとか!

あぁ、何て馬鹿馬鹿しいのだろう。

そして私に愚かな小娘を討伐してこいと理不神に命じられたのだ。

良いとばっちりである。

肩書きが天譲日天狭霧国禅月国狭霧尊 (あめゆずるひあめのさぎりくにゆずるつきのくにのさぎりのみこと)という日本最古の神の位を貰った。
仕事が終れば返上なのだろうけど、こんな位なんざいらねーと思ったのは仕方ない事だ。

長ったらしい名前だったので、下僕達には通称アメちゃんで良いといえば、天(あめ)姫様と呼ばれる事になった。

凄く嬉しくない。

下準備として春日望美が渡る世界と渡った世界を統合し、白龍と黒龍ひいては応龍の神格を抹消した。

統合した世界では何度もやり直した記憶を保持する人や神が続出する事になる。

それはそうだろう。

ただ一つの世界に纏めてしまった上、龍神の力すら無くなった世界になったのだから!

守護神から見放された国は衰退の一途を辿り、神子から見放された人々は嘆き悲しみ怨んだ事だろう。

均衡が崩れた世界を一重に支えていた神々達は世界の歪みによって消されていった苦痛を覚えている。

そんな彼等に“またやり直せ”と命じたようなものだ。

但し、“やり直しはコレが最後”だとも告げたけれども!

春日望美が望む主要キャラクターについての記憶は一切封印させて貰った。

その方が面白いだろうからさ!

ただ、何が切欠で“繰り返し見捨てられた時”の記憶が蘇るかは分からないがね。

その身に彼等の憎悪を受けるが良い。

簡単に死なんで迎えさせてやらないよ。

残酷?

どうとでも!

冷酷?

何とでも!

私の仕事は龍神と神子の抹消なのだから救いなど存在しないのだよ。


<かくして元・語部少女は世界の神となり箱庭の一つを動かす事となる。捨てられた記憶を持つ者達は、龍神と神子をどう思うのでしょう? 著者:語部少女>




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