健ちゃんが京都に来て女の怨念に殺されるというは祝寝(うけいね)を闇己も見ているらしい。
散々、健ちゃんをからかってたもんね。
でも大人然としている闇己が健ちゃんの前だけは年相応の子供に戻った。
良い事なんだろうけど、危険な所に引っ張り込まないで欲しいよ。
私達は尼辻の旅館へ向かう事になった。
車を運転するのは、尼辻の後を継ぐ後藤さん。
この人は結構オカルト大好きらしい。
道中でも色々と霊視は?除霊は?
と私の領域ではない事柄まで聞いてくる。
チラリと二人を見れば健ちゃんはゴメンと両手を合わせ、闇己はシレっとした顔で無視(しかと)しやがった!!
そうこうしている内に尼辻に着く。
途中、私と健ちゃんが女性の霊を目撃するのだけれど、怖がりな健ちゃんに不安を与えるのも何だかな…と思って私は見てない事にした。
「闇己君、健ちゃんの事ちゃんと守ってよ?」
私は祓人(はらいびと)じゃないんだし、さっき見た霊は何だか粘着気質なんだもん。
闇己は溜息一つ吐いて
「当然だ。お前や七地は神剣を探す“道標”だからな。」
失われては困ると尤もらしい台詞を吐いた。
本当に素直じゃないなぁ。
私はともかく健ちゃんには懐いているじゃん。
「それを直球で健ちゃんに伝えてないわよね??」
健ちゃんって落ち込むとウザいのよ…。
闇己に会うまでは感情の起伏が薄いと思ってたけど、闇己と出会って感情の起伏が激しくなったと思う。
良い方向に進んでいると思うけど…
「は?そのまんま伝えたけど何か問題でもあるのか?」
「…………はぁ…」
俺に間違いはないってか?
うん、闇己はボンボンだったっけ?
大人とのコミュニケーションは取れても同年代とのコミュニケーションは取れないタイプなんだね。
ある意味、社会不適合者だと思う。
健ちゃんも大人の部類に入ると思うんだけど如何せん童顔な為か闇己の精神年齢が高いのか、闇己の健ちゃんの扱いは同世代に向ける態度だろう。
「闇己君、君の言い方だと“お前の体目しか用はない”って感じで体目当てのレッテル貼られるよ?もうちょっと歪曲的で良いからオブラートに包もうね。」
私の言葉に闇己が青ざめた。
あははは、悶々と考え込んでいるよ。
でも、教えてあげなーい。
もっと悩め青少年!
不気味な死の予告は刻々と近付き闇が手を伸ばし始めた。
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