召喚獣と僕 | ナノ


▼ 15 進展したい召喚獣 ※

帰宅後、僕らは一緒に屋敷のお風呂に入った。父に今日のことを話した後、離れの塔に戻ってくる。

「ラーム、ご飯がお風呂の後でいいなんて、よく我慢できたね。偉い偉い」

きっと早く寝床でぬくぬくしたい僕に気を遣ったのかと思い、優しく彼の茶髪を撫でた。

「レニのご飯をゆっくり食べたかったんだ」

円形の部屋のラグの上にあぐらをかいた召喚獣は、ちらっとまた思わせぶりな眼差しをした。なんだか様子が変だと感じつつ、僕は近くに寄る。

「そうなの? たくさんキスしたいんだ、ラームってば」

はは、と照れ笑いして顔を覗きこむ。
慣れとは恐ろしい。最初はあれだけ恥ずかしがっていたのに、一日何度も口づけをしていると、人間余裕が出てくるのかも。

「したい。レニ」
「よし。じゃあしていいよ」
「ここに座ってくれるか?」

彼が一方の膝を叩き呼び寄せる。なぜそこ?と思ったけれど、僕は言う事を聞いた。
これから一緒に働いてくれるのだから、出来る限り彼の意思も尊重すべきだと思うようになったのだ。

「んっ……ぅ」

僕の腰を支える、がっちりした腕に掴まって唇を重ねる。
ラームは最初遠慮がちに舌を入れ、その後ゆっくり絡ませた。

「は、ぁ……は…っ」

確かにお腹が空いてるのか、すごく長い。こんなにじっくり味わわれるような感覚は初めてで、僕も了解済みだから余計にドキドキした。

「あ、ん、む……もう、ラーム……」

口を離されたあと、力が抜けて腕に抱きとめられる。
互いに息を浅くしていると、まるで魔力供給だということを忘れてしまいそうだ。

「レニ、もっとくれ……」
「……もっとって……しょうがないなぁ…」

僕は近頃召喚獣に甘くなっていた。彼の体が心配だというのもあるが、こうすると満たされた顔をする。それが何よりほっとしたし、嬉しくもあった。
だから我慢……しないと。

ただのご飯なんだからと、集中を途切れさせないようにしていたのに。
突如大変なことが起きてしまう。

「んっ……んん!!」

僕は彼の腕の中から飛び上がる。床に尻もちをつくかと思ったが、ラームは離さないでいた。驚きの顔はもっともだ。

「どうした、レニ? 俺は、なにか間違っていたか?」
「ううん、違うんだ。ラームのせいじゃなくて」

顔が真っ赤になる。今日、歓迎会であんなことを話したからだろうか。
それとも彼とのキスのせいでーー。

僕は寝間着のズボンを引っ張り、もぞもぞと下半身を隠そうとした。なんて恥ずかしいんだ。召喚獣にはバレませんように…。

「レニ。様子がおかしいぞ。ズボンがどうかしたか」
「な、なんでもないってば。……わあッ、なんで見るんだよっ」

あろうことか、ラームは僕のズボンを両手でめくってきた。中までは見られなかったけれど、パンツの上の膨らみを彼は間違いなく目にした。

「あっ……レニ」
「しょうがないだろ! ラームのせいだもんっ」

涙目で幼稚に叫ぶ。しかし彼は馬鹿にしたりせずに、じっと見つめて頬を赤くし、瞳を柔らかくした。

「どうして怒る? 俺は嬉しい。俺のせいでレニが気持ちよくなった。キスをしてペニスが気持ちよくなったの、いいことだろう?」

臆せず口にする獣の彼に口をあんぐりと開ける。
そっか……彼は元々野生の動物だし、恥ずかしさとかはあまりないのかな。

「でも……魔力供給なのに、困るだろこんなの、僕だけ……主なのに」

主の威厳も何もないと縮こまる。そのまま下の方も落ち着けばいいと思ったのに、人の刺激でこうなってしまったせいか、熱が引かなかった。

「大丈夫だぞ。俺も勃っている。見るか?」

ラームが信じられない事を提案し、僕をひょいっと床に置き、立ち上がった。
彼の大人用の上下の部屋着。薄い布地のズボンに視線をやる前に、簡単に下着ごとめくり、すごいものが現れた。

「…………っ!」

僕は口を丸く開け、その斜め前に勇ましくいきり立つ長物に目を奪われる。
彼の小麦肌と変わらぬ血色に血管が浮き出て、亀頭も立派だし、まさにバキバキいってそうな素晴らしいぺニスだった。

「ラーム……おちんちん……でかっ」

独白のごとく感嘆がこぼれ落ちる。表情は分からないが、頭上から彼が自身を誇る声がした。

こんなに間近に人のぺニスを見たことがない。同じ男だけど、嫌悪感が湧かないのはやっぱり大切な召喚獣だからなのかな。
いや、勃起しちゃだめだけど。

「えっと……見せてくれてありがとう、ラーム。でももうしまって、ね」

そうだ。これは獣の威嚇とか自慢みたいなものだと考えた。
ラームは腰を下ろしたものの、まだ食事の途中だと言わんばかりに僕を抱き寄せた。

「わあっ、おちんちん、まだ硬いって! 当たってるよラームっ」
「しょうがない。お前が可愛いからそうなった。俺はまだ食い足りない、口を開けろ、レニ」

口調も息づかいも、興奮した様子で僕は唇を押し付けられる。
そしてすぐに入ってきた舌に、遠慮なく口内を舐めとられた。

人型だからか、あそこも人間と同じだ。
勃起するということは、ラームも人間と性交ができるのだろうか。

「もやもやしているか? レニの心が伝わる」

途中、心情を読みとった彼に心配そうに問われ、ぶるぶる首を振った。

「してないよ、そうじゃなくて」

嫌ならそう命じればいいだけだ。でもなぜ僕は、許しているんだろう。人型の召喚獣の好きにさせているんだろう。

「レニ。一緒に擦ろう。擦り合わせると気持ちがいい」

僕の足をもってあぐらをかく自身の腰に絡ませた。急に分厚い胸板が目に飛び込んできて驚く。

「脱いで、レニ」
「や、やぁ、なにするの」
「俺も脱ぐ。一緒にこうする」

彼の息づかいと動作に押され、僕は一瞬のうちに下着を剥ぎ取られて生足を出してしまった。おちんちんはお風呂のときに見られているけど、勃起したのは初めてだ。

「だめ、ばかぁ、なんで見るのっ」
「レニの可愛い。……ほら、気持ちよくなるぞ」

下を見ると、まるで大人と子供のぺニス同士がぴたっとくっつき、彼の大きな手に一緒に握られ、きゅっきゅっと擦り上げられる。

「あっ、あぅ、やぁ、んぁあ」

僕は抗えずに声を漏らすだけで、局部に伝わる刺激につま先まで跳ねていた。こんな卑猥なことになってしまうなんて。

ラームはこっそり一人でしてたりするのだろうか、どうしてこんなに触るのが上手いんだろう。互いの竿が肉厚な手のひらに握られて気持ちがよくなる。

「ん、わぁぁ、なんか濡れてきちゃったよ、ラームの先っぽっ」

彼の先走りがすごい。射精と見紛う量のぬるっとした液体が僕らのぺニスに滴り、さらに刺激を強めてくる。

「興奮してるからだ、レニのせいだぞ。ぺニスが交尾したくなってる」
「……えぇえっ?!」

とんでもない彼の口走りを考えることも出来ず、僕はもう限界に襲われた。

「あ、あぁっ、やぁっ、もう、いっ、いっちゃう〜っ」

浮き上がる腰を押さえられ、彼の目の前でおちんちんが跳ねる。びゅくびゅくと白い液が噴水みたいに止まらず、僕は射精をしてしまった。

互いの太ももに滴は落ち、放心した状態でそれを眺める。

「はぁ、はぁ、もう……いやぁ……」

自分でするのと全く違った。こんなに大きな快感は生まれて初めてだった。
僕はくたりと体を彼の胸元に預けた。情けないところを全部見られて今すぐ隠れたくなる。

「レニ。どうだった? 気持ちがよかったか?」
「……ばか。見れば分かるでしょ。こんなに出しちゃった」
「ああ。わかる。レニがいっぱい出して嬉しい」

顔をじろっと見上げると、汗ばんだ精悍な顔立ちの男が、やけに爽やかな笑顔を見せていた。
どうしてラームが嬉しいんだ。僕の失態なのに。

「なあレニ。舐めていいか? お前が出したやつ」
「……えっ?」

答えるより先に、また勝手な彼は僕を抱き上げ、今度は座る主の前に頭を垂れた。口元がどこに向かうのかと恐々とすると、お腹についた精液を舐めてくる。

ラームは茶狼の獣だから、舐めるのがうまい。たとえ人型のときでも、大きな舌であっという間に綺麗にしてしまうのだ。

でも人間の僕は勘弁してほしい。

「ば、ばかっ、やだぁ、汚いよっ」
「汚くない。美味いぞ。レニの精液も俺の甘いおやつだ」

口を拭い、さらに嬉しそうに笑って上体を起こす。
向き合って、その腕に抱き締め、人間のように僕の後ろ髪を撫でてきた。

急に恥ずかしくなり、僕は口ごもる。
でも顔が寄ってきて、頬をぺろっと舐められると、やっぱり獣なんだと少し安心もする。

「ねえラームの顔つき、確かに満たされた感じする。でも精液も関係あるの?」
「ああ。舐めても出しても、お前と触れ合ってるだけで俺は満たされる。お腹がいっぱいになってくる」

そうなんだ……。重大な事実なんだけど、僕はやけにすんなり納得をした。

「じゃあラーム、もうお腹いっぱい?」
「いや、まだ……」

彼は視線を落としたあと、獣のくーんという鳴き声が聞こえそうな欲しがる表情をした。

うそだろう。こんなに触れあっても、まだだって?

もしかして、今までのキスだけじゃ十分じゃなくて、こういう行為を必要としているのだろうか。

だってさっき、もっと際どいことを言っていたような。

「……あっそうだ。もしかして、ラームはまだ出してないよね。出してみる? 体に悪いかもしれないよ」

心配もあったがそのせいで満腹じゃないのかもとすり替え、尋ねてみた。しかし彼はぱさりと茶髪を振る。

「俺は今日はいい。我慢する。レニをいかせたかった」

僕の頬を優しい手のひらが覆う。様子を見るように指で撫でられるのがくすぐったい。
内容は恥ずかしいけど、彼の愛情が伝わる。

……っていうか今日はって。いつかまたこういう事をするつもりなんだろうか?
今日は単なる事故だと思ってたのに。

魔力供給ーー彼には特別な体液交換が必要って理解してたけど、もしかしてキスだけじゃないの?

鼓動がどんどん速まっていく。
その間、ラームは僕の寝間着を器用に着せてくれて、自身も服を整え、ベッドに運んでくれた。

彼は今夜も人型で隣に潜り込んでくる。
ふわふわの大きな茶狼の姿より、こうして僕に寄り添って眠るのが最近のお気に入りのようだ。

そのことに僕はもう文句を言わなくなったけれど、聞きたいことはあった。
しかし同時に、聞くのに勇気も要した。

「ラーム、おやすみ。よく寝てね」
「ああ。レニもな。ぐっすり寝るんだぞ」

横になった僕の後ろから、ぎゅっと抱きついてくる。
温もりにうとうとしていると、突然耳元で彼から声をかけられた。

「そうだ、教えるのを忘れていた」
「えっ、なにを!?」

過剰に反応し、聞き耳を立てる。

「欲しいものはレニだ。レニとしたい。レニがいい。交尾はお前とする」

まさかの告白をやられ、つい固まって言葉が出なかった。
彼はずっとこのことを考えていたんだ。

僕が、ご褒美……になるの?
お尻にすりすり押し付けられながら、その夜目が冴えて眠れなかった。



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