聖騎士の卵 | ナノ


▼ 1 騎士その@

俺はアパートに住むごく普通の大学生だったはずだ。
ある夜、ベッドに入り意識が落ちる直前に、脳内で奇妙な男の声がした。

『お前は生まれ変わったら、何になりたい?』

夢見心地でそりゃあもちろん「地位と名誉のある男になってガチムチハーレムを作りたい」と答える。
俺は根っからの男好きなのだ。田舎に住んでるせいで出会いもなく、平凡な見た目の俺でも、夢想するだけならバチは当たらないだろう。

なんか今夜は、そういう夢が見られる気がする。
ぼんやりわくわくして眠りに落ちた数秒後、俺は心臓発作で死んでしまった。




『聖騎士の卵』



気がついたら俺は、真っ白な上質のカーテンが囲む大広間にいた。
目の前には、何人かの男達が整列していた。銀色に輝く鎧姿で腰に紋章入りの長剣を下げ、さながら異国の騎士のようだ。
だが皆口を固く閉ざし、表情も体も硬直させている。

自分の真後ろで、黄金色に艶がかった翼がバッサバッサとはためいた。
室内でうるさいので背に収納した。

おかしい。
俺は天使になってしまったのだろうか?
やや茫然自失になりつつ騎士たちを凝視していると、端っこにいた白装束の男が恭しく跪いた。

「おお……貴方こそ、我が国に古来より伝わる救世主、伝説の神鳥王ーー。さあ、贄となる選ばれし聖騎士たちをご用意致しました。どうぞ御存分に彼らを味わい尽くし、運命の卵を宿してくだされ」

神官らしきおっさんが絨毯に平伏すのと同時に、他の騎士たちも一斉に片膝をつき、俺に頭を下げてきた。

これは……どういう事だ。
運命の卵ってなんだよ。

夢じゃないのか?
設定はよく分からないが、すんなり信じるとすれば、このガチムチ達を孕ませちゃっていいってこと?

「くくく……はは、はっはっはっは!」

俺の高笑いに、男たちの後頭部がびくつく。
騎士らの固い表情を思い出すに、どうやら怯えているようだ。
経緯は知らないが、贄として差し出されたのは事実なのだろう。

「いいだろう。全員食ってやる。俺を楽しませてみせろ。……まずはお前だ」

完全に芝居がかったノリで指先をくいっとやる。
騎士のうち、一番左にいた背の高いワンコ系騎士を選び出す。

皆それぞれすらっとした長身で筋骨隆々の体躯だが、この騎士はとくに若くて手足が長い。
茶色の短髪が男らしく爽やかで、さぞや健康的な肉体美が期待出来る。

「は、はい。光栄の極みです、神鳥王」
「名前は? こっちに来い。顔をよく見せろ」
「……っ。セアムと申します」

肩を小刻みに震わせながら、腰の剣に手を添えたまま足に力を入れてやって来る。

騎士が目の前まで近づいた瞬間、太い首の後ろに手を這わせ、ぐいっと引き寄せた。不意打ちにベロチューを行う。

「んむぅっ……ッ」

初っ端から衆人環視の中でかましてやった。
騎士の背後からどよめきが起こる。顔を傾けて味わい尽くす中、他の騎士たちの事も視線で舐め回した。

ふふ、いま口内を愛撫してやってる男だけじゃなく、全員を俺のものに出来るとは……!

「出ていけ。今からこいつを食う。少なくとも数日は邪魔するなよ」

決め台詞を言い放つと、俺の熱いキスですでにふにゃふにゃになった騎士が、腕の中で再びぶるるっと身を震わせた。


俺が召喚された大広間は、すでに豪勢な自室として機能していた。
高そうな家具や調度品もほぼ必要ない。ベッドと騎士さえあれば満足なのだ。

大きな寝台の上でガチムチ騎士の足をおっ広げさせ、まずは体躯にふさわしい立派な逸物をシゴいてあげている。

「あ……ッ……くっ」
「こんなデカいちんぽ持っててお前、なんで孕まされる側なんだろうな?」
「……ぅあっ、つ、つよく、しないでくださっ」
「やらしいなぁ。先走りでぐちょぐちょ。期待してんのか? 舐めるぞ」

ぱくりと口に咥え、勢いよく口内に吸いつかせる。
騎士の硬く割れた腹筋が、波うつように痙攣する。

「ああ! おやめ、ください、あ、あぁッ!」

無視して舌とほっぺたを使いフェラを頑張っていると、騎士の肉棒はさらに張りつめ硬さを増した。

「だ、だめだ出る……やめ、き、きたない……ッ」

腰のびくつきに合わせて達しそうになったので、吸い上げるとあっという間に精を放った。
ねっとりしたものを口に含んだまま、俺は騎士の上に覆いかぶさり、半開きになった唇へと口づけした。そのまま精液を流し込む。

「ん、んーーっっ」

体と顔をがっしりと押さえつけたが、俺の変態行為にじたばたもがいている。

「……んぁ、あぁ……」
「お前のが汚いわけあるか。美味かったぞ」
「はぁ、はぁ、……お、俺がほとんど……飲みました」
「そういうプレイだ。じゃあ今度は俺の飲ませてやる。お前の気持ちいいとこでな」

優しく言って、後ろの穴を指の腹で撫で始める。
ピンクですごく綺麗だ。聖騎士だから当然ぽいが使ってないのだろう。

羞恥で真っ赤な顔を手の甲で隠していた騎士が、とっさに上体を起こし、何か言いたげな顔をしてきた。

「あ、あの……俺は、初めてで……どうかーー」
「そんな事は分かってる。抱いた女のことでも思い浮かべてろ」

今から掘られるというのに些か残酷な台詞だとは思ったが、自分で言ってて興奮した。
しかし騎士はさらなる苦悶に顔を歪ませる。

「いません、そんなの、俺は童貞です……ッ」

え、マジで。
まるでだから特別扱いしてくれと懇願するような、すでに汗と涙でくしゃくしゃの顔。
そうかそうか。お前のヴァージンを、この俺にーー

「可愛いなぁ、お前。ほんと可愛い。大丈夫だ、優しくするし、最後にはちゃんと孕ませてやる。俺が全部責任取るから」

詐欺師のような言葉を吐き、興奮MAXで己の滾った肉棒をぶち込もうとすると、再び下半身をこわばらせた騎士に止められた。

「ま、まって下さい、王よ。そんなデカイの、いきなりは壊れてしまいます。そこのポーションを使ってください」
「へ?」

騎士の視線の先には、サイドテーブルに置かれた水色のボトルがあった。
え、ローションじゃなくてポーション?
まぁどっちでもいいか。早くこの初々しい騎士に突っ込みたくてしょうがない。

「ほら、これでいいか? 中にもちゃんと塗り込んでやるから」

尻のまわりも中もぐちょぐちょに浸して騎士の淫らな喘ぎを楽しむ。
初めてというわりに指はすんなり入った。
しかし鍛え抜かれた体だけあって、締めつけの頻度も強度もすごい。

「なあもう挿れていい? 俺我慢できない、先っぽだけ、な?」
「あああっ」

指でほぐしていたが締まりが良すぎるため、とっととブチこむ荒治療に変更した。
そういや俺のチンポ、鳥人というわりに色も形もちゃんと人と変わらなくて安心する。

騎士が危惧するようにサイズは人外レベルだが。

「んあぁッ、ま、まってッ、お、っきい、む、無理ッ!」
「大丈夫、もうちょい頑張れ。ほら亀頭は全部入った、しばらく止めててやるから」

にこりと告げて騎士の濡れた額を優しく撫でる。

ああ、正直言うと最初からガンガン掘りたい。
でもなんでだろう、俺の下で汗にまみれ紅潮した童貞騎士に、そんな非道な真似出来ない。

「……はぁ、はぁ、申し訳ありません、神鳥王よ……」
「気にするな。つうかその王っていうのも凄くそそるんだけど、俺の名前呼んでくれる?」
「え……?」
「スグルだ。言ってみて、セアム」
「す、スグル……様」

うおおお!
赤らんだ顔で本名を呼ばれるとマジで興奮抑えきれない。
つい肉棒をさらに怒張させ前のめりになってしまった。
同時に竿がぐぐっと奥のほうに進んでしまい、騎士があられもない姿で悲鳴を上げる。

「や、ああッ、おく、奥に、あぁぁッ」
「あーほんとだ、入っちゃった。やばいな、もう止まんない」
「ひっ、あぁっ、やめ、まって、まってくださッ、スグル様ぁ!」

それからは腰を振りまくって騎士を目一杯よがらせた。
こいつ、処女のくせに一発で孕んじゃいそうなほど、俺のチンポに吸いついてくる。

選ばれし聖騎士って、そういう意味なのか?
生殖機能に長けてるとか……いやでもどうやって調べるんだ、そんなの。

「スグル様、俺、もう、イキそう、だめ」
「ん? お尻の中気持ちよくなっちゃった? 初めてなのに偉いなぁ」

足を腰にホールドさせしがみついてくるワンコの茶髪をヨシヨシしてやる。
耳まで真っ赤だし俺が押さえつけてたせいで肌全部が赤らんでいた。

騎士の体を揺さぶりながら目的である種付け行為を行う。

「出すぞセアム、俺の精液全部飲んで、一滴もこぼすなよっ」
「んあっああっだめ、だめ、俺もうイクッ、あぁぁぁッッ」

騎士は口を半開きにさせてなんとも可愛らしいイキ顔を見せてくれた。
数時間前に初めて会った時の精悍な顔立ちは、もはや見る影もない。

硬く引き締まった腹の上には、再びイッてしまった童貞チンポの白濁がぬらりと垂れていた。

あー良い。
すでに一人目の聖騎士で、俺は天にものぼる気分だ。

気絶してしまった騎士の腹を撫でながら、ちゃんと卵出来たかなー、と一人物思いに耽っていた。



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