店長に抱かれたい | ナノ


▼ 25 確認 ※

二つあるうちの片側のベッドで、俺は真上にいるレオシュさんに深い口づけをされていた。同時に正常位で重なった腰がずんずん奥を穿ってくる。

「あ、あぅ、ん…っふ…ん、んっ、くぅ」 
「……ああ、ロキ、もっと君をください」
「んむっ、れお、しゅさっ……ま、まって!」 
「待ちません、腰も、止まらないです」

意志の強い声でぐっと抱きしめられ、さらなる甘い快楽に落ちていく。
ああ、なんだか店長、今夜は強情で激しい。
最近俺が男に絡まれやすいせいか、彼の所有欲がどんどん露になってきている。

「ロキ、もっと深く、私を受け入れてください」
「は、はいっ、んあぁ」

頭の上にあげた腕をやらしい手つきでたどられ、俺の掌を彼の大きな手が覆う。指輪をなぞり、指をからめられる甘やかな仕草に全身が震えた。

「君は、私のものですよ、誰にも渡したくありません」
「えっ…? あぁぁ、んぁあ、やば、やばい、っす、そんなの」
「心も、体も……覚えておいてくださいね。君は私のだってーー」
「あっ…んぁっ、はい、おぼえ、あぁっ、てんちょぉ」

どうしちゃったのだろう。そんな台詞を言われて俺が平静でいられるわけがない。

「あ、ぁあ、でる、出…るっ、離れて、レオシュさ…っ」

彼の腹をぐっと押し退けてびくびくと腰を浮かす。
首元まで飛び散った精液に、彼の指がまたいたずらをした。

「イッてしまったんですか……ロキ」
「だって、あなたのせいっすよ、……そんなこと言うからっ」

涙目で訴えると彼の唇に塞がれる。
くちゅくちゅと味わわれて頭が真っ白になり、重なるがっちりした腰に足を絡めた。

「っはぁ……もっと、もっとして、レオシュさん」
「はい……いっぱいしますよ、今日は…もう止めてくれって言われるまで、ね」

薄く汗ばんだ肌で色づく笑みを見せ、また彼は腰の動きを再開させる。
そんなこと、言うわけない。俺は彼が思う以上に貪欲だ。

その夜はレオシュさんもいつもと違っていた。
紳士的な彼とは遠い性急さと、俺を貪る雄々しさ。

ベッドの上で四つん這いになり、腰だけ上げた状態でも彼に抱かれた。
すでにあらゆる夢が叶っていると感じる。

「っん、くッ、あぁ、あぁぁっ」

ぱんっ、ぱんっと腰をうちつけられ、イクとすぐに上体を抱えられて起こされた。
背中に分厚い胸板があたり、膝立ちで挿入したまま動かされる。

「ひっ、ぅぅ、見ないで、くださ、ぅあッ」
「見えますよ、君の可愛らしいところも、ほら、またイキそうですね?」

触ってほしいのに見つめられるだけで、俺の硬い腹筋まで反りたつちんぽが揺れる。
ガチガチのそれは中で達すると同時にあられもなく白濁液を吹き出した。

「あ、あ、あぁ、あ〜っ」

ぼたぼたとこぼれて下半身の力が抜ける。
だが落ちた先には彼の力強く優しい腕が待っており、俺は熱いキスとともに意識が遠ざかっていった。

そうして何回抱かれたのだろうか。
旅行でこういうホテルだし、彼の落ち着いた性格もあいまってもう少しスローな甘々セックスなのかと勝手に想像していた。

嬉しい誤算だ。たまにこうして荒々しくされるとめちゃめちゃ弱いと実感する。

「はあ、はあ……」
「大丈夫ですか、ロキ。少し休みましょうか?」

二人で横たわっているが、店長はすごい。まだ余裕の表情で俺の胸を撫で、時おり首に口づけをしてくる。
俺はこの人を甘く見ていた。

「店長ぉ……」
「はい。すみません、激しくしすぎましたか」

眼鏡のない素顔の店長が上体を起こし、心配そうに尋ねる。

「いえ、激しいのは大歓迎です。もう知ってるでしょう。あの……」

体の熱さがぶりかえすが、俺は隣を向いて彼に体を寄せ、唇を重ねた。
年上なためあまり自分から普段はいかないのだが、驚かれてくすぐったく感じる。

「レオシュさん。聞いてください。俺はあなたのものですから。死ぬまでそうだって決まってます。いや俺がもう決めました。だから……」

じっと見つめる彼の黒い瞳が心なしか潤んで見えた。
そしてもっと大事な言葉も尋ねる。

「あなたも、俺の……ですよね? よろしくお願いします」

頭を下げるとそのまま胸に抱きかかえられてしまった。
早い反応にドキドキしながら互いの鼓動を聞く。

「ええ、そうですよ。私も君のものです。……ありがとう、ロキ」

髪を撫でる手がいつになく優しい。お礼をいうのはこちらなのだが、俺はしばらくそのままレオシュさんの懐に甘えていた。

彼の男らしい手をちらりと見る。ここにも、俺と同じようにいつか指輪をはめたいな…。
そんなことをぼんやり考えてしまった。






一日目はこうして、天にも昇るような大事な確認をし合い終わった。
あのナンパ男の出現にはむかついたが、逆にいい風に作用したのかもしれない。

二日目の朝はゆったり過ごし、庭に面したテラスで朝食を取ったあと、午後はスポーツアクティビティなどに挑戦しようかと話していた。

「レオシュさん、何やりますか? 俺球技なら結構なんでも得意なんすけどね」
「ロキ。それは良いのですが、腰のほうは大丈夫ですか。今日はこうした活動をと決めていたのに、昨夜は……つい我を忘れてしまって。無理をせず、教えてくださいね」

テーブルの上で手を重ねられて、優しい低音が降り注ぐ。俺はぼわっと赤面し、熱い頭を笑顔で振った。

「全然平気ですよ、この通り下半身もピンピンしてます。ああ俺あなたにそんなこと言われるとまた興奮しちゃうんで、やっぱスポーツして発散させないとなぁ」

朝から彼の濃厚トークに自制するが、やはり店長に接していると俺はすぐに発情してしまう。

「あ、そうだ! コーヒー取ってきますね。店長はーー」
「いえいえ。私が入れてきます。君はここで座っていてくださいね」

にこりと気遣われて頬が緩んだまま、お洒落でラフな白シャツ姿の彼の背を、目で追った。

すらりとスタイルの良いレオシュさん、やっぱ格好いいな。
にやけた顔の前に、すっと邪魔な人影が通った。
しかもそれは、俺の前の席にためらいもなく腰を下ろす。

眉間に皺をよせて見やると、昨日サウナで出会ったあのナンパ男だった。
緩やかな金髪をちゃらつかせた、髭面の年上イケメンだ。

「どうもー。昨日ぶりだね。よく眠れた? ここのホテルのベッドよくない? っていうか、彼と熱い夜を過ごしたのかな」

いきなりぺちゃくちゃと話しかけられ、唖然とする。
俺が「なんなんすかあんた、そこどいてくださいよ!」と小声で叫んでも気にせず身を乗り出して居座っている。

「ちょっと、マジで迷惑っす、もうすぐ店長帰ってきちゃうんで、誤解されたくないんで消えてください」
「ひどいなぁ。俺とだったらいいじゃん、誤解されてもさ。ねえ、昨日の話覚えててくれた? あんなおじさんじゃなくてーー」

らちの明かない男の相手をしているうちに、恐れていたことが起きてしまった。

「……すみませんが、彼に何のご用ですか。勝手にそこに座らないで頂けますか」

突如男の後ろから凍りつくような声が聞こえた。飲み物を手にしたあのレオシュさんが、不快そうに顔を歪めて立っている。

「えー、冷たいな。席ぐらいシェアしようぜ、お兄さん。あ、ロキ君でもいいけど?」

……えっ? なんで俺の名前知ってんだ。
恐ろしくなり二人を交互に見やる。

「なっ……お前っ……」
「よっ! 久しぶりだな、兄貴。会いたかったぜえ、元気だったか?」

振り向き様、からりと挨拶する男を見て店長は呆然としていた。俺も開いた口が塞がらない。

「え、兄貴って? この人まさか店長の弟なんですか」
「……は、はい。……どうして、お前、こんなところで何をしているんだ」

動揺していた彼が、にやつく弟を見て顔つきを切り替える。 

「ーー待て、ではお前がロキをナンパしていたのか? なんでそんなことを」
「いやぁ。だって面白くない? もしかしたら俺にもこんな可愛い子と知り合うチャンスがーー」
「あるわけないだろうッ」

眼鏡を直して憤慨している。こんなレオシュさんも初めてだ。
本気で怒られているのにこの弟のように楽しそうな人間を見たのも初めてだった。

騒ぐのもあれだと思い、俺達はいったん席についた。
真向かいに年の差が10才だという大人の兄弟が座る。
怒り顔と俺への申し訳なさが交差するレオシュさんが頭を下げる。

「本当にすみません、ロキ。大変不快な思いを……ありえないですね」
「いやいや、レオシュさんが謝んないでくださいよ。確かに、あのー、最初はなんだこの野郎って思っちゃいましたけど。まさか弟さんとはなぁ。全然似てないので気づきませんでした、あはは」

金髪の男をじろっと見るが、逆ににこりと笑まれた。
そういやニコルの面影はあるか。この人の若い頃の写真を見たはずだが、髪型も違うし髭のせいで分からなかった。

「イーサンさん、でしたよね。まさか俺に会うためにここに潜伏してたんですか?」
「ははっ、まあね。仕事の息抜きがてら、一泊だけ。こう見えても俺普段は忙しいんだよ? でも兄貴がさ、君と旅行に行くんだってやったら嬉しそうに自慢してきてな。じゃあ一発覗いてやろうとーー」
「おい。あんまりそういうことを、明かすな。イーサン……」

恥ずかしそうに下を向くレオシュさんがとても愛しくなる。
正直この男に対する警戒は抜けなかったが、普段と違う、家族と接する彼を見ることができるのは嬉しい。

「じゃあ、私のせいだったんだな。お前に会えたことは嬉しいが、いつも言っているだろう? 常識がなさすぎると」
「はいはい、悪かったって。でもいいじゃないか、こうしてロキ君とも会えたんだしさ。あ、俺はすごい応援してるからなー、二人のこと」

腕を組んでぱちりとウインクされるが、本当か?
昨日のあの感じ、隙あらば俺のボロを引き出そうとぐいぐい来てた感じがするし。

でもなんとなく、面はいいのに飄々としたところが息子のニコルと同様で、読めない。
きっと二人とも、家族であるレオシュさんのことが大切なんだろうが。

そのことは腑に落ちて、俺も改めて背筋を伸ばして頭を下げた。

「ありがとうございます、お兄さん。申し遅れましたがレオシュさんと真剣にお付き合いをさせて頂いているロキ・ハーミットです。こちらこそよろしくお願いします!」

挨拶をすると微笑まれたが、彼はふいにため息をもらす。

「君、男らしいよね。昨日もまるで相手にされなくてさ、俺自信あったんだけどなぁ。ちょっとショック」
「あのな……されるわけがない。ロキはそういう人じゃないんだ。発言に気をつけろ、イーサン」
「ええ? でもさあ、本音はどうよ? なあロキ君。こんな堅物のおじさんよりも、俺のほうがイケてない? 楽しい遊びいっぱい知ってるよ」

甘い目つきがわりと本気でこの人頭大丈夫だろうかと引いてしまったが、額を抱えるレオシュさんの代わりに笑顔で答えた。

「いやすみません無理っす。心技体においてレオシュさんに敵う男この世にいないんで」
「ええ"! そんなに? ちょ、どうなってんのこの子。兄貴、どうやって捕まえたんだ?」

オーバーリアクションでのけぞる弟に、店長が満足げに笑う。
いや俺が店長を捕まえたんだよ。そう誇らしく胸を張る様子は、彼に喜んでもらえたようで嬉しかった。



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