Otherside | ナノ


▼ 17 お仕置き ※

覚醒したシスタは、そこが廃教会でなくベルンホーンの寝室だと気づいた。
いつの間にか地上から冥界へと戻ってきたのだ。

あの殺戮の光景は頭にこびりついて離れない。
しかし目下、シスタは自分の体が許容しがたい状況に陥っていることを知った。

四肢はベッドの上に革紐で固定され、全裸だ。
股を大きく開かされ、陰茎と尻の穴が上向いて丸見えというひどい体勢である。

手足を激しく動かし、魔法で解こうとしても歯が立たない。

「くっ、なぜこんなことをする、エハルドはどこだ」

置かれた状況よりも悪魔と二人きりになった親友をまず思ったシスタは、正面にいる男を責めた。

ベルンホーンはあられもない姿の奴隷の前に、片膝を立てて座っている。緩い部屋着でリラックスした様子だ。

「あの騎士か? そんなこと、俺達の寝室ではどうでもいいだろう」

呆れ顔だが、声は楽しそうだ。
青年は悪魔に断固として怒りの眼差しを向けた。

「俺が怖いか? お前は悪魔に何を視ていたんだ?」
「怖くなどない!」

声を張り上げても、銀髪の男は喉の奥で笑うのみで意に介していない。
彼は手にもった薄ピンクの小瓶をちらつかせた。

シスタに近づいてきて、太ももに手を這わす。それから陰部と尻穴にその小瓶の液をたらした。

「…………ッ」
「どうだ? これは即効性と持続性どちらも強い優れものだ。魔界産でな、とても高価なんだぞ。俺は普段薬や道具などつまらないから好まないんだが。お前が相手なら楽しめそうだ」

呼吸が浅くなり目元が染まっていく青年を、ベルンホーンは愉悦を浮かべ眺めていた。

本心では、溺れすぎてしまったら少し心配ではある。しかしこれは必要なお仕置きなのだ。

しばらく耐えていたシスタだが、どこも触っていないのに勝手に腰を浮かせ、まるでセックスをしているかのような淫らな動きをし始めた。

「くっ、う、ぅ、や、やめ、ろ」
「んん? 俺は何もしていないが」

目を細める悪魔に見下されながら、シスタは勝手にペニスを硬くし蜜をあふれさせ、やがて白濁液を飛ばした。

「んぅ!」

一度出すとさらに勢いがつき、びくびく感じている最中に等間隔で絶頂が訪れる。

「ひっ、いやだっ、ぁあ!」

連続射精に淫乱度をあげていく青年を、ベルンホーンは興味深い顔つきで観察した。
薄いズボンの下でガチガチになった自身の位置を直す。これは見ているほうも中々つらいと内心ぼやきたくなった。

「お前のせいだぞ。だから仕事を見せたくなかったのに」
「……私はただ、気になってっ……こんなことをするお前は嫌いだ……!」
「わがままだな。これじゃどちらが奴隷なのか分からないじゃないか」

嫌いという言葉が悪魔にとっては興奮要素にもなり、若干傷つく要素にもなる。
腹の虫がおさまらないベルンホーンは青年をさらに支配下に置きたくなった。

「シスタ。お前はプライドが高い男だ。それなのに俺に従順なのは利用価値があったからだろう? 悪いことじゃないさ。けれど理想と願望を押し付けるな。お前は俺に都合のよいものを見つけたいだけだ」

悪魔は狡猾で、欲しいものを手に入れるためなら平気で嘘をつくのだと、生徒思いな先生のごとくベルンホーンは教えてやる。

しかしシスタはそんな悪魔の瞳を強く捕えた。

「お前が私にしてくれたことが、嘘だとは思わない」

はっきりと主張され、ベルンホーンはわずかに動揺し言葉につまる。
次第に腹の底から沸々と感情が湧き上がってきた。

「……お前は俺の愛を武器に脅すつもりか? この俺を」

ぎりぎりと歯をむき出して威嚇の表情で問う。
瞳孔は縦に開き、変身するのではとシスタに恐怖が襲った。

しかしシスタは耐えた。
なぜ信じたいのか分からないが、ベルンホーンの生来の優しさは確かにあると思っていた。自分がそれに触れたのは間違った記憶ではないと。

「私は……お前のことが気になっている……好きとかじゃない」

単に複雑な気持ちだと表現したかっただけなのだが、ベルンホーンはわざと冷ややかな顔つきに変わった。

「ずるいやつだ。さっさと俺に愛を誓え」

銀髪の男はようやく、自身のシャツのボタンを外し、服を全て脱ぎさった。

薄闇の中で雄らしい広い肩が迫ってきたかと思ったら、ベルンホーンの柔らかい銀髪は下のほうに屈んだ。

彼の美しい顔立ちは、躊躇なくシスタの後孔に口をつける。長い舌が入り込んできて、まさに野蛮な行為だと感じた。

「んあっ、あっ、ぁあっ」

やらしく赤い舌で自身の唇をなめとり、悪魔はにやりと笑う。

「お前が俺を欲しいといえば今日は許してやる」
「……私は許しを乞うようなことは何もしていない!」
「勝手に俺の仕事場に来た。殺すところを見せたくなかったのに」
「お前が心配だったんだ……っ」
「まったく、そう言えば俺が甘くなると思うのか? ……まあ否定はしないがな。俺の強さをいつになったら信じてくれるんだ。そろそろ拗ねたくなるぞ」

青年の頭ごと胸に抱きしめ、腰を進める。
ペニスを挿入していくとシスタの声は苦しげに漏れ出す。

腰を動かすにつれ甘やかな喘ぎに変わる。
それが気持ちよく、蜜にまみれた窮屈な中を前後左右にかき回した。

「や、やめ、ん、あぁ、ベルンホーンっ!」
「こうするのが好きだろう? 素直になれ、シスタ」

腰を速めて奥まで突いていく。
全身を抱き込み、仕置のつもりがただ青年を気持ちよくすることに専念するようになっていた。

「ああ仕方がないんだ、俺はお前が好きなんだ、傷つけたいわけじゃない、大事に可愛がりたいんだよ」

首へのキスから始まり、吸い付く肌への愛撫がとまらない。シスタの潤む瞳が快感に閉じられると、まぶたにも愛おしく口づけた。

それから唇を塞いできつく舌を絡める。

「はぁシスタ……すごく可愛いぞ。このいきり立ったものだけでなく俺自身ももうお前の虜だ。もっと俺を感じろ。全部許してやるから……俺をすべて受け入れろ」

優しい甘い声音は命令なのに夢中な感じだ。まるで悪魔が絶え間なく乞う雰囲気に、シスタの理知的な目元は崩れ、次第にとろけていく。

甘美な告白が肌と体内に甘くまわり始めるのは媚薬のせいだと思いたい。
この悪魔の言う事など信じるなと本能は告げている。

それなのにシスタは、いつの間にかベルンホーンの背中に片手を回し、受け入れ始めていた。

「ふふっ、素直になってきたな。もうイきそうか? いいか、これからイクときはちゃんと俺に言うんだぞ」

目の前が霞んでいく。ベルンホーンが生む火傷しそうな熱砂に囚われてしまう。

「お前は良い子だから、きちんと出来るな?」

頭を撫でられ、熱い律動にもう全てを手放しそうだった。

「い、くぅ……っ、ベルンホーンっ、アァ、あぁあっ、イクぅ……っ!!」

それはシスタが性において陥落した瞬間だった。



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