シャワールーム(村虎、途中)


ついったの診断で、『シャワールームで口を塞ぐ村虎』が出たので書いてみた。
ぬるエロ、村虎←兎だよ。






「ふいー…仕事の後のひとっ風呂は、やっぱたまんねーな!」

コックを捻り、熱いシャワーを頭から浴びる。
昼間かいた汗が、湯と共に流れていくみたいだ…たまらない。

「ふぅ……」

しばらく、そのままぼうとしていた。
考えることは山のようにある。
ヒーローの事、楓の事、そして…相棒の事……。

「どう……すっかなぁ」

一人ごちた、その時。

「なにがだ」

「うぉわあっ!!」

不意に背後から声。
思わず飛び上がって振り向けば、

「あっ、兄貴?!」

風呂場の扉から、見知った顔がひょいと覗き込んでいた。

「なにやってんだ、ココ、俺んちだぞ!」

慌ててタオルを腰に巻き付け、シャワーを止める。
相変わらず無愛想な兄貴は、怒鳴り付けても表情一つ変えずに左手を上げた。
握られていたのは、ビニール袋。

「母さんが、持ってけってよ。どうせチャーハンばっかり食ってるだろうからって」

中身が透けて見えた、家庭菜園の野菜…らしい。

「ったく、かーちゃんもお節介な……大体、わざわざ来なくても宅配で送りゃイイじゃねえかよ…」

「言うな、なんだかんだ言って心配なんだろう」

兄貴の言葉に、なにも返せなくなる。
ヒーロー仕事がどれだけ危険だか、分からないままヒーローやっちゃいない。
思わず黙りこんだ俺を見ながら、兄貴は扉の向こう側に袋を置いた。

「……」

「ぁっ…?!」

いつの間にか、兄貴が風呂場に入っていた。
伸ばした手が、俺の濡れた肩に。
冷えた皮膚に、熱いくらいの温度だった。

「虎徹」

そう広くない風呂場に、大の男が二人。
必然的に距離は近くて。
その僅かしかない距離を、兄貴がぐっと近づけた。

「あに、っ…!」

噛みつかれるようにぶつかる唇、壁に押し付けられた背中。
ぞくりと肌が粟立つ。

「ぅ、やめろ…って、こんな……んぅ」

くちゅ、と唾液が合わせ目から濡れた音を響かせた。
乾いた掌が、肩から首を通って胸元に。
思わずびくりと震えた。

はっきり言って、兄貴とこうした行為は初めてでは…ない。
マスターベーションも、セックスのやり方も、教わったのはこの年の離れた兄貴だった。
慣れない熱に浮かされた思春期の身体を、兄貴はあの無愛想な顔のまま慰めた。
訳もわからないまま、俺は初めて知った快楽に溺れたのを覚えている。

だが、昔の話だ。
思春期を過ぎて、俺は兄貴から自然と距離を置くようになり、高校で友恵と出会ってからはそんな事すら忘れていた。

だが、

「は、うぁっ……!」

兄貴の手は俺の胸をなぞり、腹から腰、尻へと下がっていく。
俺達の身体はすっかり密着して、肩口に埋まった唇がうなじを舐める。

「あに、き……兄貴…!な、んで…」

押し返そうと肩に手をかけたまま、力を入れられない。
きっと兄貴には分かっている、折れそうな俺の身体が温もりを欲していることを。
不器用な兄貴は、なにも言わないだろうけど。

「っあ!」

武骨な手が、濡れた腰のタオルを掴む。
思わず引き留めるように、上からその手を押さえた。
その時、

「!」

響いたインターホンの音。

「……」

宅配便か何かか…?と耳をすませる。
聞こえないと分かっていても、つい息を潜める。
この行為は褒められた物ではない。
しばらくすれば留守だと思って帰るだろう…。

ガチャリ

「っ?!」

鍵が開く音。
続いて、誰かが入ってくる…足音。

「………」

心臓が、ドクドクとうるさい。
誰だ…?俺の家の鍵を持っている奴は多くない。

「兄貴…早く出ろ…って」

声を潜めて、兄貴に早く風呂場から出ろと促すが、この男は動く気配すらない。
それどころか、

「うっ…?!」

濡れたタオルをかき上げて、その、奥に…

「んっ、く…!」

いきなりの熱、腰がひきつるほどの快楽が沸き上がる。

「ば…あに、き…!」

何をするのかと睨み付ければ、兄貴はそしらぬ顔で俺の耳に吸い付いた。

「は…うぁ、」

ひくん、と肩が震えた。
瞬間、忘れかけていた侵入者が声を発する。

「……虎徹さん?」

「ッ!!!」

聞き慣れた声に、思わず口を自分の手で塞ぐ。

「ほう…?」

すると、それまで黙りこくっていた兄貴がふと声を漏らした。

「ありゃ…お前の相棒だな」

「んっ!」

きゅ、と俺のを掴む手に力が入るのを感じた。

「虎徹さん、留守ですか?」

バニー、ああやべ…今日飯食おうって言ったのは俺だった…。
約束を思いだし、内心頭を抱えた。
だから仕事終わりにすぐシャワーを浴びたのだった…忘れていたことを悔やまずにはいられない。
もうすぐ時間だ、律儀な相棒は自分の仕事が終わってすぐ来てくれたのだろう。
ああ、だけど俺は

「ん、っ、んんう…!」

兄貴の手は、バニーが来たと気づいた時から動きを止めてくれない。
くちくちと水音を響かせながら、俺を追い上げていく。

「ひっ…う!」

ぱさりとタオルが床に落ちる。
露わになった俺自身は、すっかり立ち上がって兄貴の手の中で震えていた。

まずい、このままじゃ……

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