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「悪いね、さっき帰ってきたのに…」 『別に』 「うむ…。今回はAKUMAの破壊とイノセンスの有無の確認と回収。詳しくは資料に載っているから。出発は二時間後。現地でラビと合流してね」 ラビ、その一言で彼女の瞳に殺意が宿った瞬間をコムイは目撃してしまった。こみ上げる激情が喉まで出かかっているのだろうか、唇を殆ど動かさずに月精は確認する。 『あのクソ兎と…?』 「にっ任務だから!ね?」 『…チッ』 こんな薄い冊子が果たして資料と呼べる価値があるのか、とでも内心毒吐いていそうな顔のまま、彼女は司令室を後にした。 月精の姿が消えると、コムイは溜息を零す。 「ラビの何が気に食わないんだか…。いい子なのに」 「何かあったんじゃないっすか?」 丁度彼の親父的発言を耳にしたリーバーは苦笑混じりに書類の山を置いて行った。 ざっと見積もってもコムイの身長は軽く越す。横を見ればまだ処理されていない紙が寸分の隙間もなく詰めこまれた特大ワゴンが二つ。 「リーバー班長の鬼――!」 「叫んでいる暇があるのなら決裁をしてくださいな」 いつの間に戻って来ていたのだろうか。フェイ補佐官に止めを刺され、彼は已む無く判子を手にするのだ。 |
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