31



Quem vidistis,pastores,dicite,
(羊飼い達よ、見たものを語れ。)


annuntiate nobis,
(我らに告げよ、)


in terris quis apparuit?
(地上に誰が現れたのか。)


Quem vidistis,pastores,dicite,
(羊飼い達よ、見たものを語れ。)


annuntiate nobis,
(我らに告げよ、)


in terris quis apparuit?
(地上に誰が現れたのか。)


Natum vidimus
(降誕と、それに付き従い)


et choros angelorum collaudantes Dominum,
(主を讃え歌う天使の聖歌隊を見た。)



『…この先はまだ読んでいない。で、知っていた曲だろう?』
「あ、はいっ」

まさか歌ってもらえるとは。思わず聴き惚れてしまった。
そしてふと思う。
月精はいつもこのような類の曲を歌う。クリスチャンではないはずだ。

「あの、月精ってよく宗教音楽を歌いますよね。どうしてですか?」
『よく響くから』
「…それだけ?」
『それだけだ』

ふっ、と瞳を閉じ 足を組み直した。

『元は神に捧げるために作られ、歌われてきたものだ。こういう曲は大抵“遙か彼方にいる神に届くように”と考えられ、遠くまでよく響くように音階や歌詞が構成されている。
それがただ私にとって都合がよかったから、それだけの理由だ』
「そうだったんですか」

てっきり好んで歌っていると思ったのに。
純粋な信者であれば不快を持つであろう彼女の言葉に、僕は少なからず驚いた。
そんな話をしているうちに汽車がスピードを落とし始める。今回の目的地に到着しようとしているのだ。

『行くぞ』
「はい」

<< >> The Diva of submission
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -