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『これか…』

呆然として動く気配の無かった探索部隊を置き去りにして先に進めば、こじんまりとした空間に行き着いた。中央の真紅の台座に安置されているのは、今回の目的であった鏡が。
特に装飾の施されていない質素なもので、台座とは月とスッポンのよう。側にあるプレートには[作者・題名 不明]と記されている。
よくこれがイノセンスと分かったものだ。そう思いながらさほど気にも留めずに鏡へと手を伸ばしたとき、

〔何故、お前は戦う〕

鏡に映る自身が問う。

『…私は、』

そこまで言いかけ、後に続く言葉を飲み込むと月精は鏡を手にし、その場をあとにした。

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