「体育祭も終わったし、席替えします」


その日、先生が俺に落とした爆弾は大きな物だった。

体育祭の日、雫ちゃんをどうしようもならないちょっと洒落にならなくなるぐらい好きになってしまって、じゃあ後は押すしかないなと決心してこれである。やめてくれ。

ちらりと隣をみれば眉毛に皺を寄せて考え込む雫ちゃんがいた。ああ可愛いなぁ、悩んでる雫ちゃんも可愛いなぁ天使だなぁ…


「高尾さっさと引け」
「真ちゃん俺は今現実逃避をしてたんだよ現実に戻さないでまじで」


身長の高い真ちゃんの席は変わらず窓際の一番後ろだ。俺は泣く泣く四つ折りの紙をとった。

できれば同じ班、できれば同じ班…!!頭で唱えながら恐る恐る紙を開いていく、鶴ちゃんが「雫と離れた」と顔を歪めていてさらに空気が重くなる。


「…廊下側の一番後ろ…」


微妙、実に微妙だ。良くもなく悪くもなく反応に一番困る。今の次期なら暖房もまだだしすぐ購買にいけるからまあいい方か、それより雫ちゃんはどこなんだと首を降る。


「高尾君離れちゃったね、私全く位置変わらなかったよ」
「あたし廊下側、あーあ、よりによって一番離さなくても…」


紙をひりひらと降りながら溜め息を吐く鶴ちゃんとはまた同じ班だ、だけど、だけども、


「高尾ぉぉぉ!!見苦しい!!さっさと移動しろ!!」
「じゃあ真ちゃんかわってよおおおおお!!めちゃくちゃ離れるじゃんまじでいやだ勘弁してよ!!」
「結城!!同じ班だろ連れていけ!!」
「ちょっと知り合いと思われたくないっす緑間さん」


位置の変わらない雫ちゃんの机に張り付きながら首を降る。見苦しいもなにも雫ちゃんと離れるのはそれは地獄だ。絶対にいやだ。
ずっと黙っていた雫ちゃんが俺の肩を叩く、そうだ雫ちゃんは俺の仲間だよね!?と顔をあげたら無表情。また肩を叩かれた。


「迷惑になるから早く移動してね高尾君」
「…ちくしょおおおおお!!!!」


後で真ちゃんに聞いたのですが、今日のおは朝蠍座は最下位だったそうです。おは朝許すまじ。



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