「あの、入学した時からいいなと思ってて、高尾君、付き合ってください!」


別に今まで告白を受けなかったわけではない、でもバスケと雫ちゃんがいるから付き合わなかった。俺が好きなのは雫ちゃんでいつかふられても彼女に告白するまでは誰とも付き合わないつもりだった。

でも今の俺じゃあ雫ちゃんを笑わすなんて夢のまた夢で付き合うなんてその夢だ。
じゃあこの子を付き合えばいい、もしかしたら好きになるかもしれないじゃないか、届かない好意を伝えるよりよっほどましじゃないか。


「ごめん、バスケに集中したいから」


それでも断るのは俺の意地なんだろうか、それとも汚い彼女への好意からなんだろうかはもうわからない。

雫ちゃんは今日学校にきていない、鶴ちゃんにメールで風邪で休むとだけ届いたらしい。鶴ちゃんは眉間皺を寄せて俺を軽く殴った。

だってわからない。どうやったら笑うのかどうやったら雫ちゃんが俺を好きになるのか、どうしたらいいのか。机にうっぷす俺に、真ちゃんが放った台詞は深く突き刺さる物だった。


「…俺がいうのはお門違いかもしれないが、お前は本当に門田に笑ってほしいのか?」


そんなの当たり前だ、俺は雫ちゃんに笑ってほしいから悩んでるんだ。そういいかけて口をつぐんだ。

本当に、それだけ?雫ちゃんが笑えば思いを伝えられてすっきりするからそう思ったんじゃないのか?笑ってほしい、でもそれは雫ちゃんのためじゃなくて、

俺のためじゃないのか?

次の日も、その次の日も雫ちゃんは学校を休んだ、そして明日は、彼女の苦手な体育祭だった。



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