私の悩み事を高尾君はあっさり解決してくれる。まるで魔法使いみたいに、はい、できた、と簡単に。

泣いた、何年ぶりかわからないぐらいに声を上げて泣いた、なんで泣いたのかわからない、それでも私は泣いた。
苦しい、悲しい、煩い、気持ち悪い、私を否定するなら、私を見ないでといいたくなる、そんな台詞を高尾君は簡単に遮ってくれた。
私は泣いていた、泣いていたけどね、どっかで嬉しいとも思ってしまった。

高尾君が好きだ。好きでも、好きから逃げていたんだ、彼が好きだという事から逃げていたんだ。
嫌われたくない、でも今のままでも嫌、ああでも嫌われたくない、好きと一言いってほしい。
笑ってないからとか美亜ちゃんが好きだとかは逃げる口実だ、嫌われたくないから好かれたいと思わない様にしてただけ。

ねぇ、高尾君、私の高尾君の前ではじめて泣いたあの日の夢、私が泣いてる夢だったの、真っ白の世界で泣き続ける夢。
どんだけ泣いても、声をあげても誰もこなくて一人ぼっち泣くんだ、そしたら、いつの間にか隣に高尾君がいるの。
高尾君が隣にいると真っ白な世界に淡い色が広がるそんな夢だったんだよ。
透明な池が溜まるほど泣いても隣に高尾君がいたら周りに色がつく、いつの間にか鶴ちゃんがいて緑間君がいる。

私は散々泣いたから、


「美亜ちゃん、ちょっといい?」
「…なあに?」


もう逃げないよ。



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