「……」


夏休みに入って一週間、私はひたすら家にひきこもっていた。
夏休みの宿題は九割ほど終わり、七月の時に勉強系を終わらしてしまいそうで怖いくらいだ。
それでも私はひきこもりたかった。


「……」


「美亜ね、和成君が好きなのー、だから雫ちゃんも応援してね?」

応援するしかないだろう。そもそも私と高尾君の繋がりなんかほんのちょっぴりで部活のレギュラーとマネージャーとか王道な恋愛で、

……あれ、じゃあ私はなんでひきこもってるの?


「……鶴ちゃんと遊ぼう!!」


このままじゃあ駄目だ、じめじめとした感情がだらだらとたまっていく、気持ち悪くてはやくこの感情を抜き出したい。
夏休み、私は生まれてはじめて電話をかけた。


『はいはーい、雫どうした?』
「つつ鶴ちゃん!遊ぼう!」
『お、ちょうどいいねー!今から買い物いくから一緒にいこー』
「うん!」


ぷつっときって携帯をぼふんとクッションにおく、ああもやもやする、この感情はまるで少女漫画の恋みたいじゃないか。
買い物にいくためにクロゼットから必死に洋服を探したのはいうまでもない。

駅で待ち合わせをして鶴ちゃんが発した一言目は「あ、意外とダサくない」だった。失礼だ、鶴ちゃん。
鶴ちゃんと一緒に服や雑貨をみていく、可愛らしい物が沢山あり色んな物に目移りした。


「ちょっとお茶しようか」


きょろきょろと辺りを見渡していたら鶴ちゃんに肩を叩かれそう言われる、まだ何も買ってないのにと不信に思いながらこくりと頷いた。
近くの喫茶店に飲み物とケーキだけ頼み向かい合うように座る。
さて、と鶴ちゃんがにこりと笑った。


「なにがあったか、包み隠さず話してもらう!!」


私の不自然はすぐバレる。



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