かっずーが恋愛したら、というのはかなり興味があった。
ヘタレになるか、ツンデレになるか、まさかまさかにヤンデレになるか。

かっずーは私の予測を簡単に踏み倒していった。


「雫ちゃんピース!!」
「ぴ、ぴーす…?」
「うわあああ雫ちゃん超可愛い!!」


おかしいだろ、これ……
まるで、かっずーの何もなかった三年間の愛情が全部雫に注がれてるみたいだった。いや、あながち間違ってないのか……

昨日朝、何があったかは追求しないがかっずーが雫をつれて、出ていった。
帰ってきたのは二時間目の終わりでかっずーはうまい事遅刻の理由を二人分して何事もないように席に座った。
その後、いつの間にか門田ちゃんが雫ちゃんにかわり、時間があれば雫と会話をした。

そして朝からこの調子である。

ごめんトイレにいってくると教室から出ていった雫をかっずーは本気で恋してる瞳で「可愛い…」と吐息混じりに見送った。


「あの…和成…さん?」
「え、なに?」
「…あの…なにが、あったのかしら」
「は?なにが?」
「いや、その…ねえ緑間さん」
「俺にふるな、しかし何があった高尾」
「だからなにがよー」


ハハハハと笑いとばすかっずーに緑間は小さくひっと声をあげた。おいびびってるじゃんかかっずー…
ひく、と口を歪ませああそうとだけ返す、これはヤバい、色んな意味で。
教室のドアが静かに空いた。


「ただいま…」
「雫ちゃん炭酸飲む!?」
「いいいいいよ」


ふるふると首をふる雫をみてまた「可愛い…」と呟いていた。
緑間は動揺してないように見えるが動揺している。本逆さだ、ギャグか。


「お前の相棒だろなんとかしろよ」
「結城。明後日から夏休みだな…」
「無視すんな」
「きっとバスケ部は休み等ほとんどないのだろうなはははは」
「緑間無表情やめて」


夏休み、その単語を聞きかっずーの方をみる。顔が紫の雫に「可愛い」と連呼していた。夏休みが不安で仕方ない。



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