結城 鶴乃。
秀徳高校では三番目(一位は美亜ちゃん二位は先輩らしい)に可愛いって言われてる私のクラスのマドンナ。
しかも可愛いのに真面目という正に文句のつけようがない子だ。笑顔も可愛くて(私の可愛い基準は笑顔が可愛いかでかなり左右される)長い艶やかな黒髪を一つに束ねた和美人な本当に素敵な子なんだ。

そんな子が。


「見境の真実!!うわー!!超マイナーだからあたし以外の人みてないのかと思ったあああああ!!門田さん全部みた!?みてない!?」


私(無表情根暗)に話かけている……?


「(おおお落ち着け門田雫!!考えろ、考えるんだ!!無表情でありながらも結城さんの気分が害さない。あわよくば友達に慣れる様な受け答えを考えるんだ!!どうしよう見つからない!!)」


“見境の真実”というのはマイナー中のマイナーだと思う文庫小説だ。私はかなり面白いと思うからかなりの回数みているけど結城さんもみてるとはびっくりである。ぶっちゃけ本語りしたい。緑間君の時みたいに。


「お、面白い、よね、私も好き」


………ねーよ。これはねーよ。どこらへんに面白そうな語りと好きそうな語りがあったよ。
終わった。折角のチャンスを沈めた。ああこれは終わった!!
視界がじわりと歪む、だめだ、泣くのはだめだ、本気で引かれる。
ああ、でもどうしたら!!


「門田ちゃん、大丈夫、そんな顔すんなって、俺に任せてよ」


耳元で高尾君の声がした、幻聴かと思って横みたら薄く微笑んでいる高尾君がいた、幻聴ではなかった。ああ、神様仏様高尾様あああああ!!

真のイケメンは高尾君だったのです!!ここテストに出ます!!


「よぉ鶴ちゃん」


え、お知り合いですか、そうですか。やっぱり高尾君は高尾君だ。という事で私は高尾君に任せる。まる投げとか最低にもほどがあるな、本当に。
よかった、高尾君がいて。


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