じわじわと教室の気温が暑くなる。男子も女子も下敷きをパタパタ扇がせ暑い暑いと愚痴を溢す。
私は寒さに弱いが暑さにはわりと強い方だ。だからといって暑い事にかわりは無いけど、いますぐアイスキャンディを舐めたいけど。


「…暑い…」


流石の高尾君も暑さには勝てなかったみたいだ。タオルで目を隠して制服のボタンも第三まで開けてる。流石に開けすぎじゃあないだろうか。なんだか肌がみえてせくしーだ。卑猥だ。
後ろをみれば緑間君も第二まで開けていた。あの一番上まできっちり止める緑間君まで暑さに負けた。真夏の力って凄い。
笑顔の練習である、鏡とのにらめっこも飽きてきたので冷たい飲み物でも買う事にした。自販機にまでいく勇気はある。財布を掴んで鼻歌混じりに自販機まで歩く。

自販機にはもうあったかいは無く冷たい物しか並んでいない。スポーツ飲料と悩んだが、ミルクティーが美味しそうなのでミルクティーにする事にする。ボタンを押したらガランとひやっこいミルクティーが落ちる音がした。
どうでもいい話なのだけど、私は昔カップ形式の自販機はゴキさんの住処だと聞いてから缶とペットボトルとか買わない事にしてる。あの話はトラウマだ。


「……」


不意に青いラベルの貼られた炭酸水が目についた。夏になるとすぐ売り切れるのでレアっちゃあレアだ。
ついでにと炭酸水も買っておく事にした。ぬるくならないよう早く飲まないといけない。
休み時間もあと僅か。私は教室に一刻もはやく戻らなければならない。

ひやっこいミルクティーと頬にあて教室へと足を踏み出した。



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