「阿呆かお前はあああああ!!!!執事やぞ?執事コスなんやで!?笑ってお嬢様釣れそうなポーズしろやこのセンター分け!!!!」
「…北本さんイメージかわるわ」
「あたしも三十分かけられた。緑間なんて作業時間ほとんど写真だったよ」
「…真ちゃんどんまい」


パシャパシャと何回もフラッシュをたかれる。普段の北本さんとのギャップにびびるしかない。
文化祭まであと少し、作業も大詰め、雫ちゃんが考えたメニューの試食(美味しかったです結婚してくれ)や衣装や内装もほぼ完成で今はポスターになる写真を撮っている。遠くの方でレシピと睨めっこする雫ちゃんが見えた。可愛い。


「よそ見すんな!!」
「あーごめんなさい…」
「疲れた顔すんなや笑顔でいけ!!」


結局撮影が終わったのは一時間ほど経つ頃だった。わりと長い間同じポーズだったので腰がやばいバキボキいっている。


「…雫ちゃん癒して…」
「ごめんねー高尾君今刺繍してるから邪魔しないでねー」
「邪魔とかひでーや!でもそこが好き!」


刺繍の邪魔にならないようにその横でチラシをまとめたり看板に作ってあった飾りをつけたり雑務をこなす。おお、我ながら飾りのセンスあるんじゃね?


「高尾君」
「なーに?」
「執事服似合ってるよ、かっこいい」
「………え」


さりげなく、本当にさりげなく、さらっと言われた。おいおいちょっとまじかよふざけんなよ


「ね、照れるでしょ?」
「…ごもっともです雫さん…」
「耳まで真っ赤だぜ高尾君」


くすくす笑い声が聞こえる。ああなんか笑う雫ちゃん魔法みたい。なんつって。火照った顔をテーブルクロスに埋めた。好きだぜ雫ちゃん。


「雫ちゃん」
「はい」
「スマイルプロジェクト終了です」



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