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「ああ、あ、あっ、ゃ――も、う…んっああっ」
「もう、どうしたの?」

くにくに、とか、こりこり、とか、そんな擬音を頭に浮かべるだけで身体がびくびくと反応して飛んじゃいそうになる。いっぱいいっぱいな俺に気づいているのかいないのか、あいつの指は相変わらずやらしー動きで胸の中心を弄ってる。

「も、お願、――ぁ、無理ぃッ…!」
「何が無理なの? 服の上から乳首いじられてとろっとろに感じちゃったから? もうやめてほしい? ねぇ、」
「…っあっあっあああ!や、だそれ、つまむの、嫌ァッ!」

ねぇ、と言って両方の乳首を服の上からつまんで紙撚を寄るみたいに、優しくくにくにと揉まれるともう口も閉じれないくらい気持ちよくなる。

薄くてなめらかな生地が粘膜の表面を滑りながら、なのに逃れられない刺激が乳首全体を包み込んで与えられる。ズボンは下ろされて、上半身には肌着だけ身に付けたどうしようもなく間抜けな格好で、背中も腰もガクガクと跳ねて、そのたびに俺とあいつが座ってるベッドがギシ、と軋む。

後ろから俺を包み込むように座ってるあいつは身を捩る俺を逃がしてくれなくて、快感を無理矢理脊髄に押し込めてくる。

「あッ、あ゛、んんっ――ひっあっ、やだ、やだあっ」
「嫌、じゃないでしょ…? ―――ッ、すっごい、気持ちよさそ――」

俺の耳にくっつくくらい唇を寄せて、余裕ぶった言葉で俺を責め立てるけどあいつの声ももうかなり切羽詰まってる。熱を帯びた息切れが耳にかかるたびにあいつが俺の感じた顔を見て興奮してるのがわかって腰の奥がじくじくと疼いた。

眼鏡の細いフレームがこめかみに押し付けられて、俺の大好きな、あのきれいな顔が眼鏡の奥でどんな色っぽい表情をしてるんだろうかと想像する。記憶の中から色々引っ張り出してきたら心臓がきゅうきゅうと張り詰めていくのがわかった。

「ね、俺にどんな風にされてこんなになってんの? 乳首、すごく固くなってる。――教えて、」
「っあっぁ、服の、――上か、らぁ…んぁっ! ち、くび、んっ…乳首……触られてる、のぉ――っあっ、ゃぁあっ」
「どうやって?」
「あっひぁっ…! つままれ、て――っつままれて、あっああっ! こりこり、ぁあああっ! っされて、る――」

やばい。やっぱこりこりとか自分で言ったり考えたりするだけで死ぬほど恥ずかしくて背中ぞくぞくする。それを俺より少しだけ厚くて広いあいつの胸に押し付けると、あっちもぐいと俺の腰を引き寄せてくる。

俺の腰に固いものが当たった一瞬だけ幸福感にとろけて達しそうになってまた限界点を探して身体を揺らす。

「よくできました。…じゃあこれは? 気持ちいいよね? ほら」

緩くつまんでいた指がゆっくりと乳首の下をなぞり、そのまま円を描くように動きはじめる。先っぽに到達するとそのまま指の腹だけでくるくると撫でられて、ぞわぞわとした、新たな刺激にまた口がだらしなく開く。

気持ちいい、気持ちいいのに大人しく受け入れられない快感にもっと狂いたくなる。もう下半身の疼きは限界で、屹立したペニスから透明な液がとろとろとこぼれながら俺の腹を濡らしているけど、あいつにもっと意地悪されたくなって、わざと否定の言葉を並べていく。

「んあっ!ああ、やだぁっ――っは、あ…許して、ぁああ゛ッ、」
「――へぇ、嫌なの」

すぐ後ろで、スッと空気が冷めるのがわかった。同時にに俺の身体から血の気が引くけど、それでもあいつの言葉を否定した「お仕置き」を期待して身体の芯は逆に熱を持ち始める。

「――か、っっ――!!」
「こん、なに、だらしなくよがって――」

あいつの名前を呼ぼうとして、一瞬だけ脳みそを強く揺らされた感覚がそれを中断する。そのあとで額際にぎりぎりと痛みを感じて、前髪を掴み上げられているのだと気づいた。

首だけで無理矢理後ろを向かされて、俺の顔をあいつがのぞきこんでくる。あ、かっこいい、と思う前に一重瞼の向こうから冷えきった視線が突き刺さってぞくりと身体が震える。恐怖と期待でぼんやりする思考の中で、こいつに早くぐちゃぐちゃにされたいという欲望だけが炙り出しみたいに浮かび上がってくる。
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