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「お仕置き」してほしくてだらしなく求めて喘ぐように息を吐いた。

「――っあ、ぁ、」
「やらしー顔してんのに、『嫌』なんだな?」

そう言いながら、俺の髪をつかんでない方の手が身体中をなぞっていくけど、乳首と、俺の腹を相変わらず汚し続ける屹立には決して触れない。

だけどあいつの指はそこ以外にも、俺がじわじわと感じるところを知っていて、冷めさせず、かといって高めるわけでもなく中途半端な熱を身体に送り込んでくる。

「そ、な――ぁ、ぁ、…っぁ」
「じゃ、このままやめちゃうよ。いい? こっちも、こんなだけど」

そういって俺の顔を今度は下に向けると、ピクピクと痙攣してそのたびに先走りを腹に塗りたくる自分自身のペニスを見せつけてくる。

感じまくって、とろとろになった自分のちんこを見せられて目眩がするほど恍惚を覚えるなんて俺は本当に頭がおかしくなったのかもしれない。

「こりこりの乳首いっぱいいじって、ぬるぬるの先走りと一緒にちんこ扱いてほしくないの? ん? ほら、こうやって――」

腹を伝って太ももを揉むように通りすぎた手のひらが、ペニスの下に添えられて撫でるように上下するけど、やっぱり触れてはくれない。

耳元でねっとりと囁かれて、一番ほしいものを触れそうで触れない位置でちらつかせられて、残っていた理性の欠片が蒸発するように消えていく。

「お、おねが――あっ、ふぁっ、ぁ、ひ、ぃ」
「……今のお前、すごいかっこだよ? 腰振って――やらし」

あいつの手が動くのに合わせて腰が勝手に揺れて止められない。小さな小さな声で、吐息にまじって聞こえてくる言葉のひとつひとつに俺は絶頂しそうになる。でもできない。

触ってほしい。身体の、あいつが触れてないところが全部疼いて疼いてしかたなかった。俺はいつの間にかボロボロ泣いていて、はしたなく腰を揺らしながらあいつの顔を見上げて懇願する。

「ぃっ、おねっお願っ――やじゃない、からぁ! 触って、触っ、て…っ」
「何を? どんな風に?」

俺の泣き顔を見れて心底嬉しいみたいな、冷やかな笑みを浮かべるあいつはまだまだ焦らす気でいるみたいで、たまらなくなって胸にかじりついた。

「俺の、ちんこ…ぬるぬるのやつで…いっぱい、扱い、て――ぐちゃぐちゃして…ぇ…っ!」

多分すがるような目で見上げてタガが外れたようにおねだりする俺を見て、あいつの笑みが少しだけ柔らかくなった。

それから「可愛く言えたからご褒美」と囁いて、ずっと俺を抱えていた身体を離すと、俺の前に膝をついて、今にもはち切れそうなそれにゆっくりと口を近づけていく。

普段はあんまりしてくれないフェラチオに、何が起こったかわからないまま、快感に背中から頭の天辺まで貫かれた。

「――――ッッッ!! っあ! あああああっ!」

散々焦らされて触れただけでも爆発しそうな亀頭が、熱くて分厚くて柔らかくてざらざらしたの舌に隅から隅まで絡めとられてほんとに溶けてるんじゃないかってくらいどろどろに感じていた。

俺がお願いした通りに、際限なく吐き出される先走りを舌で塗りたくってはくちゅくちゅと口の中でなぶる。

「く、ぁはっ…ぁ、ああっあっあっ! んっ、ああ、あっ、や――」
「や、なの?」
「ちがっ、あっ! ごめ、なさ――あっあっああっ、ぁあああ!!」

口にくわえたまま喋られると目の奥がチカチカした。例え戯れだとしてもまた怒らせてはいけないから慌てて謝ると、お仕置きとばかりに舌の蠕動が今までよりずっとやらしくなって、ペニスを奥まで飲み込んでいく。

気持ちいい、とか、もっと、とか言いたいのに俺の口からは意味のない喘ぎ声だけが勝手に漏れていく。

「――イ、ぁっイく、っイクっから、ぁ」

あっという間に限界を感じ俺は、慌てて引きはがそうとしてあいつの頭に手をかけたけど、口を離す様子はない。それどころかペニスをくわえたまま両腕を俺の身体に回して、腰を抱えるように密着してきた。

「ちょ、な――っあっはぁああっ!」
「――ンッ、ふ、」

すでに限界をこえて、それでも我慢しているペニスの先が、喉の奥で擦れる快感と、腰から臀部にかけて腕が絡まる感覚。

おまけにあいつは少しだけ苦しそうな顔をして、でも眼鏡の向こうから上擦った目で俺を見上げてくるから、そんな見たことのない艷っぽい顔でくわえられたらもう止めらんない。

「――っは、は…あっ、イク、――っイク、いく…――、いっちゃっ、あああ! ―――っ!! あっぁああああ!」
「――っ、んっ! …ん」


気遣ってる余裕なんかなくて、引き離すために掴んでいた手をこちらに引き寄せて、何度も何度もあいつの名前を呼んで、腰をつき出す。

あいつが苦しそうにうめく顔も、声も、全部がいとおしくて神経が焼ききれそうな快感が腰を突き抜けて、身体を強張らせた。

「――ィ、んっ、―――ん゛っ!」

長い長い射精の間、ぶるぶると震える腰と太ももをぎゅっと押さえつけて、喉の奥で俺の精液をゴクゴクと飲み干していく。ようやく小さくなったペニスを舌で少しだけ弄んでから、形のいい唇からちゅるん、と吐き出した。

「いっぱい出たね、――、」

一重の瞳が優しく細められて、精液と涎で少しだけ汚れた口元が俺の名前を呼んで、それで俺はあいつに愛してると言う前にまどろみに沈んでいった。





(次:あとがき)
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