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ハリードはいったん手を引いてその様子を見つめる。その視線はアミルを気遣うものではなく、男娼がステージの上で乱れる様をひとしきり堪能しているような、そんな熱を帯びたものだった。

満足した様子のハリードは、一時も休ませる気はないとばかりにアミルの中心に手を伸ばす。汗にまみれて弛緩しきった身体とは対照的に、射精を赦されないままのそこはびんびんとそそり立っており、明らかに根元をせきとめるリングの直径を上回るほどに膨張していた。

絶頂を迎えたばかりということもあり息の一吹きですらアミルの身体に電撃のような快感をもたらすだろう。しかしハリードは容赦なくそこを逆手で掴みあげ、裏筋を重点的に手のひらで撫で上げる。先ほどとはまた違った感覚にアミルは悲鳴を上げる。

「っあああ! さわ、るなッ! いま、は――だ、めぇ!」
「ダメと仰るなら尚更。これは私のアミル様に対する“教育”でございます」
「言うっ! 言う、っから! ちゃ、ッと言う――からぁ、触るっのっやぁああ゛!」
「残念ながら、遅すぎます。これはアミル様が素直に“おねだり”なさらなかったお仕置きなのですから 」

もっとも、と言ってハリードはクスリと笑う。

「これだけ溜まっていらっしゃるのですから、すぐにお出しになるのも勿体なく思いますので――いずれにせよ、今日はまだまだ赦して差し上げる気はございません」
「――そ、な…ぁっ! やめっ! やめて、ぇ!」

言いながら、先端を自らの先走りでとろとろにしている性器を手のひらで揉み込むようにする。再びハリードの両手で包み込まれて、性器全体から耐え難い刺激がアミルの体を襲う。

「ッ、っァ――、や、っぁ、もっごめ、ん――なさ、っ!」
「申し上げたでしょう? 今更謝られも遅いと」
「っああ゛! ごめんなさいっごめん、な、さっ―――っあ゛、ッごめんなさいぃっ!」

ハリードの言葉ももはや通じず、ただごめんなさいとくりかえす。その姿を見てハリードの目にさらなる欲望が宿る。

すでに快感を通り越して拷問のような刺激を受け続けて、年端もいかない少年が涙を流す様子を見て、ハリードはまったく手をゆるめる素振りをみせようとしない。むしろ口の端に浮かぶサディスティックな笑みを深くし、それ以上の虐げを与えたいと渇望する本能を剥き出しにしていく。

「このまま、出せない状態でもう一度絶頂なさいますか? アミル様がお望みなら何度でも、今以上の快感を……教えて差し上げますよ」
「やっ、だぁ! 出した、おねが、…っハリ、ド、おねが、い…!」
「なんですか? そのおねだりは。申し上げたとおりにも満足にお出来にならないなら――まだまだお仕置きが必要ですね?」
「やだっやだ、ぁっ――も、だめっ、これいじょ…っされたらッ……!!」
「これ以上されたら? どうなってしまうのでしょうね? 試してみましょうか、イけばイくほど快感が身体に蓄積されていきますよ。出せない限り、天井もございませんから、アミル様はいつまでも、…どこまでも気持ちよくなれますね?」

ハリードが言葉を重ねるたび、アミルの目が恐怖で見開かれていく。抵抗しようにも、ハリードにたたき込まれる快感に身体全体がむなしく痙攣を繰り返す。

快感に悶えるその様はアミルほどの年齢の少年が醸し出してるとはとても思えない妖艶さがあった。上等の紅茶のような色の透き通るような肌が、絹のシーツの上で、体液にまみれ、下品に腰を突き上げ、快感をむさぼるように蠢く。その妖艶さがハリードの嗜虐心をエスカレートさせていく。

「そんなにお辛いなら、おねだりのチャンスを差し上げます。上手におねだりなさって、私の気を変えることが出来ましたら、楽にして差し上げますよ? ちゃんと、ご自分の頭でお考えになって、ね」

含みのある言い方をすると、目を細め、一旦手の動きを止める。アミルに劣らない、不思議な色香を放ちながら、黒曜石の目を覗き込む。

大理石の芸術品のような顔立ちに迫られて、玉座で凛然と従者をにらみつけるアミルはすっかり鳴りを潜めている。いまや快感に身体を上気させて、心奪われたかのような恍惚とした表情で震える呼吸を繰り返す。

ときおり、ぁ、と小さく漏れる吐息は無意識だろう。しかしそれはまるでハリードを誘い込むように色素の薄い唇にかかる。

「ぁ、…… は、りど、っの」
「なんですか?」

吐息を交換するようにお互いが口を寄せ合い、囁きを交わす。

「ハリ、ドのっ、おちんちん――俺のっ」
「アミル様の、」
「俺の、―――に、」
「聞こえません」

視線はとらえたまま、ぎゅ、と性器を握り込む。それだけでアミルの身体に電撃が走ったように細かく痙攣する。それを合図に躊躇うアミルの口から卑猥な言葉が滑り出る。

「ぁああ゛! 俺の、お尻のあなっにぃっ! ハリードの、おちんちん突っ込んでください! お願い、お願いぃっ!」
「突っ込んで? それだけ?」
「ちが、いっぱい突いて、ッ俺のきもちぃとこっ! コリコリの、――とこ、ハリードのおちんちんの先っぽで、っいじめて―――しゃせ、させてッッ!!」

その言葉を聞くハリードがだんだんと目の色を変えていくのがわかった。ベルトを外しながら、本人でも知らず乾いてきた唇を赤い舌がたっぷりと湿らせる。それをみてアミルが官能的な吐息を漏らすと、ハリードも焦れるような熱い息を付いて一気にアミルを貫いた。
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