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やがてその効果は現れた。じわじわとこみ上げてくる痛痒感に、わずかの間忘れていた股関からのそれも蘇る。無意識なのか、少年の腹筋がうねうねと蠕動を始めていた。

「ぁあ…ッッ! も、やだぁあ゛! ――っつぁ゛!! ひっ! あ゛!」
「これはね、粘膜から吸収されてひどく炎症を起こす薬なんだ。皮膚からは吸収されないから安心してね」

いまさら為される男の説明も耳に入らない様子で、少年の身体が彼自身にも止められないバウンドを繰り返す。

痒い。ただこの痒みから解放されたい。その一心で拘束からのがれようと暴れまわり、時折からだが配水管にぶつかりゴンゴンと音を立てる。しかし、一見頼りない配水管は案外丈夫なようで、少年の力ではびくともしない。

「掻いてぇ! 掻いて、かいて…!!」
「うん。あんまり焦らすのもあれだしね、敏感乳首をカリカリしてあげようかな」

独り言のように言って、男が手を伸ばす。すぐに乳首に触れてくれるのかと期待した少年はしかし、わき腹をくすぐるように這い上がる指に悲痛な呻き声をあげる。

「ぁぁぁぁあ…! っゃだぁ……ッッ!!」
「…ふふ、」

ようやく胸にたどり着いた男の指は乳輪に触れるか触れないかのところをくるくると回る。どうしても与えられない刺激に、少年は必死に体をよじって男の指を中心に触れさせようとする。だが男は指を器用に連動させて、くるくる、くるくるとしつこく少年をじらす。

そして少年の我慢が限界に達した絶妙なタイミングで、指をわずかにスライドさせて、もっとも神経が集中している乳首に爪を立てた。すかさずカリカリと先端を引っ掻く。

「―――っ、ぁあッ…っや、あ、だめ、だめ、あっ、だめッ、ダメぇぇっ」
「んーダメぇ? こんなに気持ちよさそうな顔なのに?」

少年の顔がみるみるうちに恍惚にとろけていく。わずかな刺激が数百倍の快感に増幅されて脳みそを震わし、塗りつぶし、痒みが一気に快感に昇華されていく。

男の指は少年の小さな乳首の直径の中で、わずかに上下するのみ。一定の動きをする指とは対照的に、少年の体はガクン、ガクンとめちゃくちゃに跳ね上がり、肩や後頭部が壁や配水管にぶつかってゴンゴン音を立てる。

さんざん焦らされ、肥大した神経一本一本が男につま弾かれ、幼い少年は楽器のように無理やり嬌声を上げさせられている。

少年の体が、その刺激を性的な快感と見なしだしたことに少年自身は気づいていなかった。彼の目は潤み、上気した頬は色気を放っていた。何より明らかなのは、なめらかな太ももの間でムクムクと立ち上がり始めたそれだった。

それに釣られて、乳首も一回り肥大する。少年の身体の、今最も敏感な三点が、表面積を増し、感度を上げはじめる。その異変に気づかないまま、増していく快感とそして痒みに少年は混乱した。

「ぁあああッ!足りないぃッ!もっと!もっとかいてぇぇ!」
「それじゃ、」

そういって男はぴたりと手を止めた。

「やだ! やだぁあ! やめないでっ!!」
「白状してくれる、んだよね?」
「………っ!!」

その言葉に少年は声を詰まらせる。「何でも言う」とは言った。しかしそれはその場しのぎで言っただけにすぎないのだ。当然、少年は何も白状する言葉をもたない。その間にも少年の体をかゆみが突き抜けていく。もはや、まともな判断はできなかった。

「だってぇ!知らない!わかんないぃわかんないよ!ぁぁあ!でも、もう限界なの!ああ゛っかゆいかゆいかゆい゛っ!掻いてっお願いします!何でもしますからぁあ゛っ!」

なりふりなどかまって入られないだろう。亀頭に加え、両乳首にたっぷりと塗られた薬は今まさにその殆どが吸収され、それらが引き起こす痒みはピークを迎えようとしていた。

おまけに塗られた3点の勃起は収まらず、ドクドクと血流が流れ込むことでその神経をさらに肥大化させている。

さらには睾丸から会陰をとおり、菊門へと流れていった薬によって、新たに痒みを訴える場所が生まれようとしていた。もはや身体をなぞる薬の筋すらも少年にとっては地獄の苦しみだろう。

ジクンジクンとひっきりなしに突き刺さる痒みに、少年は精神的にも身体的にも限界が近いことが誰の目からも明らかだった。
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