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やがて少年の身体に異変が襲う。もじもじと膝をすりあわせたり、わずかに膝を曲げて身体を上下に揺らす。その変化を見逃さなかった男の口元からわずかに熱い息が漏れる。

「…っ……ぁ、―――っ!」

まるで目の前の見えない柱にすり付けるかのように下半身を上下に揺らしている。時折口をパクパクさせて、何かに耐えるように歯をかみ合わせる。

程なく少年の身体から汗が噴き出し、ピクン、ピクンッ、と過敏に身体を跳ね上げはじめた。その姿はまるで、見えない糸に操られ、淫らな動きを強要されるストリッパーのようだった。

「な、これ、――ぁ、とってぇ、」

少年が独り言のように小さなうめきをあげる以外には、誰も何も喋らない。やがて足の指先がモジモジと動き出した。無意識なのか、足元に溜まった埃をかき集めるような動きを繰り返す。

「―――あっああ!」

それまでわずかに上下するだけだった膝がガクガクと震えだした。膝を左右にパクパクと動かして、まるで股に何かを挟もうとする動きをする。それでも少年は苦しんでいるようだった。

「あっ! これやだ! これ、やぁあ!」

とうとう片膝を上げては、もう片方の内股に擦り付けるように動かし始める。

「ああっ痒い! かゆい、よぉ!」

少年のその言葉に、表情に、悶える身体の動きに、アルビノの男はブル、と身体を震わせた。今、少年の敏感な粘膜にたっぷりと塗り込まれ、吸収された薬品は、今まで経験したことのない痒みを少年に与えている。

しかも少年は手を縛られた状態で、そこにふれることも出来ない。ただ、自由になる身体の部位をうねうねと動かして少しでも気を紛らわそうとしている。それは特に効果をあげることもなく、男達の目を悦ばしているのみだ。

辛抱たまらなくなって少年は男に懇願する。

「かゆい、痒いっ! おねが、手、外して」
「だからー、君が正直になったら、すぐに解放してあげるんだってば?」
「知らなっ、ぁ、っわかんないぃィ!!」

話しながらも、時折、チクゥ、と痛痒感を与える刺激の波が来るのか、少年は所々声をひきつらせて、それでも必死に訴える。

「そ、じゃあもうちょっと頑張ってね」
「ぁあああ! 嫌ぁああ!!」

やがて痛痒感の波がひっきりなしに少年を襲う。チクンッ、というするどい、それでも決して痛みには届かない刺激が、細胞一つ一つを襲い始めていた。

「お願い! かゆいの! 掻いて、掻いて! 掻いてください! お願いします!」
「だめだよ。だめ。」

答える男はすでに上の空だった。ただ、少年の痴態を見つめ続ける。まるで尋問の目的は初めからそれだったかのように、

絶望。少年の目にはっきりと浮かんだ絶望の色。対照的に男の目はぎらぎらと鈍く輝く。

後ろ手に縛られて只見もだえる少年を大人達がじっと見つめる異様な光景。

何かがおかしい、少年がそう気づくためには余りにも"痒み"に支配されてしまっていた。

自分がこの男達の満足のいく解答を知っていたなら、今すぐにでも吐き出していただろう。ただ、この"痒み"を何とかしてほしい。それだけの思考で埋め尽くされ、そしてその願いが叶えられることなく時間が過ぎていく。
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