#熱ネタ 2



デントが起きた時に飲ませる薬もどきと荷物の整理をしていたらあっという間に10時になってしまった。

ヤナップやデントを心配して出てきたポケモン達もうとうととし始めていた。

「後は自分が見とくから
あんたたちが寝不足とかで倒れたりしたら今度はデントに心配かけるよ」

イワパレスやマッギョが後は頼むと一声かけて戻って行く。
ヤナップもそろそろ限界の様だ。

「ヤナップももう休みな」

「…なぁっぷ」

「今は結構熱あるけど、しっかり休んでヤナップの葉っぱが入ったあれを飲ませればきっと元気になるさ
おやすみ、ヤナップ」

ヤナップも戻った所でタオルを一旦洗う。

そういえばシェイミは?

「お前もそんな所で寝るな」

地面に転がって寝ていたシェイミを抱きかかえて上着を脱ぐ。
上着を布団代わりにしてそっと寝かせた。

「…んっ」

「? デント、気づいた…のわっ」

気づいたのかと近寄ると、かなりの力で引っ張られた。
そしてそのままデントの隣に倒れこむ。

「って、デント?
起きてんの? 寝ぼけてんの?」

体を起こそうとするが、背中に腕が回っている為動けそうに無い。
…寝ぼけてんな。

「…はぁ、」

まあいいや
なんか、風引いた時は人肌が恋しいとかうんたらかんたら言うもんな

「薬、飲ませれるかな」

できれば今飲んで明日回復してる方が良い。
でも眠ってるのに飲ませる訳にもいかねぇしな

「……」

ヤヅキの脳内にアイリスとの会話が蘇る。
随分前に、看病とかについて話していた時だ。

『いい?
薬を飲ませる最終手段は口移しよ』

『そうなのか?』

『私はそう思ってる
相手がどうしても飲まない場合の最終手段よ』

「いや、なんで口移し?
理由まできいとけば良かったかも」

そしてしばらく葛藤すること数分後。
色々と覚悟を決めたヤヅキは薬もどきを口に含んでそのままの勢いで飲ませた。

「っ、飲んだ?」

喉が小さく動いた所を見ると、成功したのだろう

もしかしたら人生で一番緊張したかもしれない。
いや、はじめてだし。

ってかノーカンだよな
ノーカンノーカン。

早急に記憶を書き換える為に言い訳を考えるヤヅキだった





デント視点

眩しさを感じて目を開く
と、すぐに紫が跳び込んできた

「あ、起きた?」

僕が起きた事に気づいたらしいヤヅキがたずねてくる
…あれ?

何があったんだっけ
それとなんでこんな近距離で寝てたわけ?

「…え?
えっと?」

「あれ、覚えてない?
熱だして倒れてたんだよ」

「そうだったのかい?」

「ん
水いる?」

「もらうよ
ありがとう」

水を飲み、昨日の事を思い出す
……水汲みに行ったあたりから記憶無い
あれからどうやって戻ってきたのか、更には何故ヤヅキの寝袋で寝てるのかが謎だった

「あ、寝袋借りちゃってごめんね?
ヤヅキどうしたの?」

「ここで寝てた」

ごろりと寝袋の横に寝転がるヤヅキ
……隣で寝てたの?

「なんかあったときに対処しやすいかなと」

「……なるほど」

でも、ここ最近冷え込む様になってきてる
そんな薄着じゃ、寒いんじゃない…?

手に触れると冷たかった
……ほら、

「…冷えてるじゃないか
寒かったでしょ」

「……ちょっとだけ?」

「はぁ……ヤヅキ、こっちきて
はい入る!」

「うぇあ!?
……お、おぉ………あったかい」

ヤヅキを持ち上げて寝袋に入らせる
……僕、出た方が良かったかな
っていうか、近い
ちょっと緊張する…
平常心、平常心

「女の子が体冷やしちゃいけません
ね?」

「……ぁ、うん……??」

「どうかしたかい?」

「いや、あんま女子扱いされたこと無いから
性格がこんなだし、口も荒いしさ?
前は若干嫌われてたし」

「……確かに、そうかもね
でもちゃんと女の子でしょ」

「………お前、よくそういうのサラッと言えるな……」

ヤヅキが相手だから言えるんだよ、なんて言えたら良いのに
僕のヘタレ…

「……んで、体調はどうなのさ」

「ぴんぴんしてるよ」

「ならいいけど
………もっとはやく、気づけばよかった」

足の方を見て、目を伏せるヤヅキ
急に弱々しくなった声に心配をかけてしまったことを悟る
僕も体調が悪いと言っておけば良かった

「ごめんね
心配してくれてありがとう」

「べっ
別に心配してたわけじゃねぇよ…!」

「そうかい?」

「っ……なんでもない」

僕に背を向けるように転がったヤヅキの顔が僅かに赤い
……どうしたんだろ?



(やべ、昨日のこと思い出しちゃった、
忘れろ、忘れろ……!!)

(なんか可愛いなぁ)

(!?
なんで抱きついてくるわけ!?えっ!?)

(あ、また赤くなった)







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