賑わう昼下がりの大通り
今日は年に一度の祭りの日だった

何の祭りだったかは忘れたが、今日も仕事のある俺には関係のない話

のはずだったのだが

「レイさん、あれ美味しいんですよ!」

「エレン早くー!」

「レイさん、行こ」

「……」

エレン達幼馴染組に囲まれながら引っ張られながら人混みの中を移動する
いつも通り仕事をしていた俺のもとに、なんとも言えない連中が集まってきたのが事の発端だった





団長のエルヴィン
新兵のエレン、アルミン、ミカサ
更にはリヴァイ
なんとも異色な面子が挙って俺の部屋へやってきたのだ

何事かと問えば、出かけるからリヴァイと一緒に付き合ってやって欲しいとうエルヴィンの楽しげな声が帰ってきた


「……別に構わないが、行き先は?」

「祭りだ」

「……へ、」

「祭り」

「…………」

祭り
予想は出来ていなかった
祭り、か

「エレン達が行くのに付き添えばいいって事か?」

「そういうことだ」




で、今に至る

3人は子供の頃からこの祭りに来ていたらしく、露店には詳しかった
彼等のオススメを食ってみたり買ってみたり
個人的にべっこう飴は気に入った

「悪くねぇ」

「……やけにノリノリだなオイ」

リヴァイはもうどうしたんだんだお前
こいつは今、手には飴頭に謎のお面更には金魚の入った袋を持っていて、もう何とコメントしたら良いのかわからない
珍しく羽目をはずしている様だ

「レイさんレイさん!
射的ありますよ!やってみませんか?」

「私も」

「ミカサ、力入れすぎて銃壊したとかやめてよ?」

そしてこの3人も
心底楽しそうで何よりなのだが、引っ張り回される俺の心境は何とも言えないものがあった

「銃の扱いはあまり得意じゃねぇが……やってみるか」

「やった!頑張りましょう!」

幾らか払って銃を借りる
銃、と言っても殺傷能力ゼロのシロモノだ
玉はコルク状の物だし、威力もそこまで高くない
景品は得点に応じて物が選べる様だ

アルミンとリヴァイは後ろから見ているが、エレン、ミカサ、俺はそれぞれ構えて発砲した

割と性能は良いらしい
狙いさえすればちゃんと的に当てることが出来た

終わってみれば最高得点
俺の腕もそこまで酷いものじゃなかったようだ

「流石レイさん…!!
すげぇ!」

「お前らもなかなかの得点じゃねぇか」

「一つ外した
悔しい……」

むくれるミカサの頭を叩くように撫でてから景品を受け取った
そしてそれをそのままエレンに投げる

「やる」

「へっ?」

自分の景品を選んでいたエレンから抜けた声が飛び出た
投げ渡された物と俺を交互に見てえ?と小さく声を漏らしている

「欲しそうにしていると思ったんだが
……違ったか?」

「なんでわかったんです!?」

「食い入るように見てた奴のセリフか」

エレンに渡したのはガラス球
しかし、ただのガラス球では無い
ガラス球の中には人形や家があり、小さな世界が存在していた

掌に収まる世界を見たエレンは、小さくだがありがとうございますと嬉しそうに礼を言ってくれた
代わりに、とエレンが取った景品を俺が貰ってしまったのだが、良かったのだろうか







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