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「#エロ」のBL小説を読む
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01


自分には学園入学時当初からとても腹の立つ同級生が居る。
成績優秀、文武両道。
絵に書いたような完璧男がリーシャは大嫌いだ。

「ふーん。また一位か」

テストの結果が張り出されて一番上に書いてある名前に顔が変になるのが止まらない。
自分の名前は半分程のところにあるかないかだが、その順位を見る度に酸っぱい気持ちになる。
それは僻みなのか、いや、違う。
断じて違う。

「おい、前が見えねェ」

「見えるでしょ。相変わらず嫌味が最低」

それはその張本人の性格が底辺を這ってるからだと思う。
毎回絡まれるのが嫌だ。
すごく、すごーく嫌だ。

「お前は真ん中か。勉強教えてやろうか」

「結構です」

つんつんしてしまうのも相手のこういう言い方が問題だと彼女は断言して確信して睨み付ける。
そういうことを言っている暇があるのならさっさと自分の順位を見て去れば良いのに。
というか、分かってるのに毎回目で確かめる動作が理解出来ない。
リーシャ達がもうすぐ卒業だというのは肌で感じているがいまいちピンと来ない時期だ。

「一位で良かったわねさっさと向こう言ったら?」

「お前が何位下がったか計算してねェ」

「やらなくて良い!」

余計なことをするなとグッと威圧感を与えた。
距離が近くなると慌てて下がる。
いかんいかん。
この国では、ここだけではないが殆どの国で昔では考えられないがとある事件が原因で出来たシステムがある。
それはゼロ距離システム。
お互いの距離を常に計り、首につけられているチョーカーに記録されるもの。
例えば隣同士近かったりキスしたり、手を繋いだり。
そういうのが蓄積されていくと恋人認証と言って恋人になれ、段階を経て結婚認証をされる。
お互いが了解認証をするとその関係が認められる。
このシステムが導入されて既に五世代となる。
色んな問題も隙なく埋められているのでこのシステムは殆どの国に導入されていた。
昔の人なら可笑しいと騒ぐような事件もあったらしいが、そんなのは特殊な本にしかないような程浸透している。
学生時代にもそのゼロ距離システムは勿論導入されているので普通に距離が近いクラスメイトだが、そういうのは把握されているので飛び抜けて高い数値を弾き出してもいない限り認証を受けられる状態にならない。
このシステムによってさまざまなドラマを生んできたらしいが、リーシャ的にはいらぬ機能だ。
口に出したことはないが酷いシステムだと思う。
絶対に認証があっても受理なんてしない。
そう決めていた。
結婚なんてもっての他である。

「離れてよ」

「過敏になるな。簡単にゼロ距離システムは反応しない」

「なるわよ。近すぎなのっ」

男でなくともこんなに近いのは嫌だ。

「余鈴鳴ったんだから行ったら?」

「お前こそ」

言い返されるのも嫌だ。
素直に向こうへ行けと思う。
水と油なのだ自分達は。

「行くぞ」

「え」

手を取られて無理矢理距離を短くされる。
抗おうとするが先に足を動かされて離されるまで繋がれた状態になった。

「やめてよ。システムに反応されたらどうすんの」

「受理しなきゃ問題なんてねェんだ」

「でも嫌なのっ」

「へェ」

話を聞かないところも嫌だ。
つまり、彼の全てが嫌だ。
気にくわない何もかも。

「もうすぐ春だな」

言われて窓を見ると桜の木があった。
卒業する時になれば満開の桜を見られるのだろう。
その時、どんな気持ちでそれを迎えているのか。


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