前編
海軍本部、別名マリージョアとも呼ばれている海兵なら誰しもが憧れる聖地。
私はそこへ派遣され、とある少将の秘書として働くように言われた。
最初はそんな地位の人の秘書としていきなり?と疑問に思いながらも分かりました、と返事をすれば最後とばかりに言われた注意事項。
「喰われるなよ」
だった。
え?……どういう意味ですか?
「どういう意味ですかー!?」
大声で叫んだのに私の声虚しく扉はパタリと閉じた。
というのが三日前の出来事だ。
マリージョア!
何が聖地だ!
ロクな人間がいやしないよ!
「とか思っても行かなきゃいけないのが社会の現実なんだよね……」
とほほと感じながら私は海軍本部にあるとある場所へと足を進める。
−−トントン
「失礼します」
無礼のないように扉を叩きゆっくりと開ける。
「おー、お前が派遣された海兵?」
「はい」
海軍服にキャスケット帽子というサングラスをかけた軽そうな男性が広い部屋のデスクに座っていた。
「んじゃ、面接なわけだな!」
「はい?面接……ですか?」
聞いてない、聞いてないよ大佐!
私をここへ飛ばした大佐に怨念を送る。
「面接の事聞いてないのか?」
「は、はい……面接って必要なんですか?」
「まァな!なんせロー少将は人気だから選抜が必要なんだよ。他にも理由があるけど」
「そうですか……」
ただ単に秘書になれる訳ではなかったのか。
上手い話しには裏があるとはまさにこの事。
「一応少将には挨拶してこいよ。第一印象も大事だぜ!」
「は、はぁ」
別に自分を売り込む気はないんだけどなぁ。
私はあまり気乗りしないまま言われた道を目指した。
(まさかあんな光景に出くわすとは知らずに)
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