カータリアの下宿人 のコピー | ナノ


▼ 私は…ええと何でしたっけ? (2/7)

あの日も僕は買い出しに出掛けていた。
夕食の材料の入った紙袋を抱え、僕は自分の住まいである下宿"カータリア"を目指す。
下宿"カータリア"、デュムフレイで最も有名な建物だ。
良くも、悪くも。
ここの下宿人は、ただでさえ変わり者が多いこの国の中でも、殊更変人だと言われている。
僕もその中の一人だと思うとため息をつきたくなる。
昼間の空に流れた流れ星を見つめながら『明日も平和だといいな』なんて、そんな取り留めもないことを考え歩いていた時だった。

「……!?」

ズドォォ…という地響き。
方向は間違いなくカータリアのある場所だった。
嫌な予感が身体中を駆け巡り、僕は近くにいた人に荷物を押し付け駆け出していた。
既にざわざわと人だかりが出来ていたが、無理矢理押しのける。

「な…」

目の前の光景に絶句した。

「なにこれえええぇぇぇ!!?」

下宿の屋根にポッカリと大きな穴が空いていた。

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