▼ ようこそエリルデ学園へ! (1/5)
「………?」
目を開ける。
どうやら気を失っていたらしい。
頭上には綺麗な青空が広がっている。
どうやらここは広い草原のようだ。
意識がはっきりしてくるにつれ、先程までの一騒動が思い返されてきた。
頭がいたくなってくるような気がする。
「お、目が覚めたか?」
頭上から声をかけられる。
身を起こしてみると、制服に身を包んだ銀髪の少年がこちらに笑いかけていた。
「…えと……貴方は?」
「あー…やっぱりお前も無理矢理連れて来られたくちか?俺はロラン・ファイリス。エリルデ学園2年生、まあ…お前の一年先輩だな。」
エリルデ学園――
聞いたことのある名称が頭をぐるぐる回る。
冗談抜きに頭が痛くなってきた。
……ん、ちょっと待てよ?やっぱりって
「……よくあることなんですか?」
「ああ、うちの校長『若い芽を育てるのが好きなのです!』って、至る所から生徒を連れてくるんだよ。で、俺達2年生が混乱状態だろうお前達の世話をするわけ。
ってなわけでよろしくな、えーと……名前は?」
「ウィディオルです。ウィディオル・エルフィス。」
「ウィデ……? 呼びにくいから、ウィルって呼んでいいか?」
突然の申し出にびくびくしながら、ぎこちなく首を縦に振る。
あだ名をつけて呼ばれる――というか自分とさほど代わらない歳の人と話すことが初めてだったから。
さっきから展開が早すぎて頭の中は疑問符でいっぱいだったがこの時はこんな何の変哲もない会話がとても嬉しい物だと感じた。
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