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『はいっ、アスラン』

「…?どうしたんだ、これ」

アスランに会うなり、箱を突き出した私にアスランが困った顔をした。

『どうしたんだ、じゃないよ。今日でしょ、誕生日』
やっぱり忘れてた?なんて笑ったら、アスランはそんな私に小さく苦笑を返した。

「ありがとう。…後で中見させてもらう」

『うん。気にいってもらえるといいんだけど』

そう言って控えめに笑むと、ポンポンと頭に優しくアスランの手が下りてきて、
「気持ちだけでも嬉しいよ」
とアスランがフワリとほほ笑んだ。

なんだかその笑顔がすごくまぶしくて私は直視できなかった。
私がプレゼントもらってるみたいだ……。
そう思うともっと恥ずかしくなって、私はごまかすかのように話題を変えた。

『そ、そういえばアスランの誕生日ってハロウィンに近いね』
なんて安直な話題なんだろう……
でもアスランは気にならなかったのか、
「よく言われるよ」
と苦笑を浮かべた。

ふむふむ、よく言われるということは、やっぱり誕生日にあの言葉を言われることも多いのかもしれない。
あらかじめ言おうとしてたことを言えると確信し心の中でニヤリと笑うと、私は満面の笑みで口を開いた。

『アスラン!Trick Or Treat!!』
バッと両手を広げてアスランに突き出せば、一瞬驚きを見せながらもアスランはまた困ったように笑った。

「言われると思った」
その言葉とともに手のひらにコロリと1つのキャンディが転がった。


 
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