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「これが定めだっ!!知りながら突き進んだ道だろうっ!?」

――本当にこれが、僕たちが進むべき道なんだろうか。
ラウ・ル・クルーゼの止まらない攻撃をなんとか避けながら、僕はそんなことを思った。

「正義と信じ、わからぬと逃げ……。知らず、聞かずっ!!」

僕は色んなことから逃げた。
色んなことを知らなかった、聞かなかった。
戦いたくないって言いながら、ずっとアスランと戦ってきた。
たくさん傷つけた、傷つけられた。
色んな人を殺した、仲間を殺された。

「その果ての終局だ。もはや止めるすべなどないっ!!」

もう止まらないのかな、本当に?

「そして滅ぶ。人は……滅ぶべくしてなっ!!」

「そんなことっ……」
否定しようとしたけど、何故かその続きの言葉が出てこない。
この人の言っていることが全て間違ってるわけじゃない。
僕はそう思った。
みんながみんな、お互いをわかりあってたら、知ろうとしていたら、こんなに長く戦い続けてきたんだろうか?
僕もアスランとわかりあっていたら、フレイとわかりあえていたら……。

トール、フレイ……。
今は叶わない願いが頭をかすめる。

わかりあおうとしない、知ろうとしない。
争い続ける僕たち。
繰り返し戦っては殺して殺されて、傷つけては傷つけられ、憎しみ憎まれ……。
何度やっても止めようとはしない。
汚いことだらけで、もうどうしようもない。
ならいっそのこと滅んでしまえばいい。

お互いが殺しあって何もかもがなくなってしまえば、戦いは、過ちはなくなる。
確かにそうかもしれない。

でも――っ。

「でも、そんなあなたの理屈……」
「それが人だよ、キラくん」
「違うっ!!」
憎しみ合うだけが人じゃないっ。

“――私、戦争を止めてみんなと笑いあえる世界が見てみたいの”
あの時の儚い彼女の笑顔が浮かぶ。

「人はそんなものじゃないっ!!」
争うだけがすべてじゃない。
“平和に暮らしたい”そう願う人達もいる。

だから僕たちはわかり合っていかなきゃいけない。
――僕は奪うだけのこの無駄な争いを止める。

キミと交わした約束を守るために……。

Kira Yamato キミノタメニ守ル世界

 
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