デンオ

「デンジ君、何その格好?」
ボスゴドラ?なんて言えばあからさまに不機嫌そうにちげーよアフロ!なんて乱暴に言ってくる始末。やはり寝不足と空腹は人間を乱暴にするんだなーと他人事の様に(俺とデンジは他人だ)考えながら、目の前の何徹何日絶食か解らない幼馴染みにと買ってきてやったコンビニの弁当を鼻先に突きつけてやれば空腹を思い出したのか…サンキュー、とぼそぼそと力の無い声では言うものの弁当を受け取ろうとしない。
食いたくないのか?と尋ねると、その前にやる事あるとデンジはまたボスゴドラポーズをとりだす。
「今日さー」
「おう」
「国際ハグの日?とか言うらしくてな?」
なんてデンジが言い出した瞬間、俺の脳裏にはこの後デンジが何を言わんとしているかいとも簡単に想像がついてしまった。こういう時の幼馴染と腐れ縁、本当に嫌だ。
「だからオーバ俺とハ「俺外人じゃないから遠慮するわー」
「……なに俺の台詞潰してんだよアフロ」
「俺はお前の様子見に来ただけだっつの、もうリーグ帰んなきゃなんないんだよ」
「じゃあ一抱擁して帰ればいいんじゃ」
「弁当渡して帰るだけだからねデンジ君」
「俺が親友としてハグしてやっから有り難いと」
「何の有り難み?なんの有り難味があるのデンジ君!?」
百害あって一利ないよねそれ、ね?
「俺のやる気がかかっています、ナギサジムの運営が掛かっています」
「脅しかよ」
「脅しだよ!」
うわ、本気だ。マジの顔してやがるこの男。何でこんな時にマジな顔するの止めろよな〜
「形振りかまわねーなデンジ!」
「形振り構ってたらアフロはすり抜けちまうんだよ!!解るか、つまり形振り構わなきゃアフロは腕の中に留まる訳だ、コペルニクス的転回の思考だ!」
何だか訳解らないこと言い出したが、要するにデンジとぎゅうってやんねーとデンジはジムの仕事を真面目にせず、飯を食わず眠らず俺を仕事に帰さないと言うつもりか。…なんて横暴か!何と横暴な!!
でも此処で意地張ると本当面倒になると言う事もこのオーバさんはしっかり解っている訳ですよ、オーバさんは折れると言う事を知っている大人な訳よ。
つまり、

「はいはい、オーバさんの根負けですよ」
此処はオーバさんが折れて円滑に、このイマイチ頭の働いていない腐れ縁を寝かしつける事が先決なんだ。と自分を誤魔化しながら、玄関の三和土で僅か上に立っている家主を見上げながら、オーバは思いっきり抱き締めてやる。
腕の中のデンジの体は生温い体温を放っていて筋っぽくて、この抱擁に応える様にじわりじわりと眠るように優しく抱き締め返してくるデンジはまるで夢を見ているかのように頭の上で呟いていた。

「まるで夢みたいだ」
夢なら平和だぜ、デンジよぅ。


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