鈍感☆GIRL


「なまえってホント鈍感だよね」
「ふぇ?何のこと?」
「うん、何でもないよー」

 そう、なまえはかなりの鈍感なのである。
 告白されても気づかない。好きな人と両思いの時さえも、その鈍感さは通常通り運転している。

 今、なまえは隣の席の琥太郎に恋をしている。なまえは反応が分かりやすすぎて、クラス全体にバレてしまっている。(だが当の本人は、バレてることにさえ気づいていない。)
 もちろん、琥太郎にも。


 琥太郎はなまえが琥太郎のことを好きになる前からなまえが好きだった。なまえの気持ちに気づいた琥太郎は告白を試みたが、ダメだった。

 やはり、というか。
 なまえは琥太郎が告白しているのに気づかず、関係が変化しないのだ。なので琥太郎は考え、気づいてもらえないならと、なまえからの告白を待っている。


「でもさ、あんた告白しなくていいの?」
「うん、ごめん。でもさ、の意味がさっぱり分からないよ」
「そこは気にしないでいいよ」
「分かったよ、そして告白の件はお断りしちゃいますよ」
「なんでだよっ!」

 友人がつっこむと、なまえは逆に何で?という顔をしている。友人はこんなところまで鈍感だった(というか、頭の回転悪かった)かと、少し疑問に思いながら説明する。

「うちらはもう三年生、おーけー?」
「おーけー。」
「てゆうことは、卒業だよ、おーけー?」
「おーけ…あ、会えなくなっちゃうううう!」
「ほら、告白しなきゃ、ね?」

 すると、なまえはおどおどしながら赤面する。
 実は隣の席でちゃっかりとその話を聞いていた琥太郎の頬を、ほんのりと赤くなっている。

「こ、告白って、どうやってするの?」
「そりゃ、あんた次第だよ。」
「む、無理無理無理無理無理無理ーっ!」

 告白される当本人の真横で、告白の仕方なんて言える訳ないだろうと思ってる友人の前で、あたふたするなまえ。
 そんななまえをちらりと見て、かわいいなぁと思っている琥太郎。

「ど、どうしようッ?!」
「まあ、なまえの気持ちを思った通りに伝えればいいんじゃないの」

 なまえの隣にいる琥太郎を気にしながら、助言をする。するとなまえは、無駄にある行動力を即座に発揮した。

「琥太郎くん!ちょっとお時間ありますか?」
「ああ、大丈夫だ。」

 琥太郎にとっては、この時点で告白するのが分かりきっているが、あくまでそれに気づかないふりをしてなまえに着いていく。体育祭の裏まで来た所でなまえが、口を開く。


「琥太郎くん、いきなりなんだけど。」
「待ってくれないか、俺もなまえに伝えたいことがあるんだ」
「え?」

 琥太郎がなまえのことを好きだと言うことを知らないなまえは、きょとんとした顔で琥太郎を見つめる。

「俺は、ずっと前からなまえのことが好きでした。今もその気持ちは変わりません。もしよかったら、俺とお付き合いしてくれませんか?」
「えっ、あぅ…あたしもッ、あたしも琥太郎くんが好きです!こんなあたしでよかったら、ぜひ付き合ってほしいです。」

「やっと結ばれたかー。」
「もう、皆心配してたんだよー?」
「え、みんなっ?!」

 二人の思いが通じた途端、ぞろぞろと親面をしたクラスメイトが出てきた。クラスの中で新しいカップルが誕生する瞬間に立ち会いたっかただけのやつもいるだろうが、みんな二人を心配して見に来たらしい。

「はっ、恥ずかしいッ!」
「いいじゃん、俺らがラブラブってとこ見せつけれたしな。」
「うわ、星月ムカつくー!」
「自慢かよー!」

 琥太郎。なまえ。
 きっと二人は今後卒業するまで、クラスの親面した仲間に見守られながら、平和に愛を育んでいくだろう。



show off



prev next  back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -