01 豹変


体が重い。動くのがだるい。なんでも良いからカロリーを摂りたい。
だらだらと通学路を歩いていた青峰は、前方に見覚えのある後ろ姿を発見して手を上げた。
「よう、黄瀬」
軽く肩を叩けば彼は振り返り、ガン飛ばしなんて生易しいものではない、殺意すら込めた一瞥を寄越した。
「気安く触ってんじゃねぇよ、デブタが」
ちっ、と黄瀬は舌を打ち、触られた肩をはたく。
あれ。この子誰だろう。
いつも自分にまとわりついてきた可愛い子犬は、立派な極道に成長してしまった。青峰が硬直していると、黄瀬を挟んで逆側から、ひょっこり黒子が顔を出した。
「黄瀬くん。それ、青峰くんです」
「はあ?」
黄瀬はもう一度だけ嫌そうにこちらを見て、ないないと首を振った。
「俺の青峰っちはこんなクズみたいな生き物じゃないっス」
「悪かったなぁ、クズで」
さすがに我慢も限界だ。声に怒りを乗せれば、黄瀬はぱちぱちと目を瞬いた。
「…青峰っち…?」
「おう」
念押しに頷いてやる。彼は時間が止まったかのように動かなくなって。
「黄瀬ー!?」
突然バタリと気絶した。

2014/5/26




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