LONG NOVEL

想定内のオーラ (6/46)

綾ちゃんが"メガネ"と呼んでいるこの人物が小野田坂道らしい。

見るからに毎週アキバに通ってるアニメ大好きオタク男子じゃん!!


「登り坂であんたがこんなとこにいるなんてどうかしたの?」
「いえ、ははは;」


綾ちゃんとそんな会話をしてるのを側で聞いてるけど、坂を自転車で登る事自体大変なのにどこをどうしたら凄い事なの?

優勝するって事は今泉達みたいに速く走るって事??


「あの、僕行きますね・・」


少しずつ少しずつ自転車を漕ぐスピードを速めているけど、走ってる私達がいまにも追いつきそうな速度。


「綾ちゃん、あれが小野田坂道?」
「そ。いつもはあんなんじゃないんだけど」
「ふーん」


まだ自転車部にいたんだ;

その事にちょっとがっかりしたけど、想定内の容姿とオーラに凄く安心した。



「本当だったんだな」


ドリンクを買いに自動販売機の前にいたら後ろからそんな言葉を言われ振り向く。


「なにが?」
「テニス部」


振り向いた時今泉はすぐ横にいて、自動販売機のボタンに手を伸ばしてた。


「私がテニスなんておかしいって言いたいの?」
「そうは言ってない」
「じゃなんなの?」


私が聞いてるのに今泉は何も言わずにキャップを開けドリンクを飲み出した。


「ちょっと今泉!」
「なんでもない」
「なんでもなくはないでしょ、なんなのよ」


ペットボトル1本を飲み終えた今泉を睨み付けるけど何も答えようとしない。


「なんなのよもう」


お金を入れてオレンジジュースのボタンを押そうとしたら瞬時の差でボタンを押されてしまった。


「あーーーーーーーー!!」


ガタガタと出てきたのはさっき今泉が飲み干したものと同じもの。


「ちょっとなにすんの!!そんなの飲みたくない!」
「そうか、じゃあ俺が変わりに飲んでやる」
「はぁ?なにふざけた事言ってんの?お金返せ!」
「悪い、立て替えておいてくれ」
「は?はぁ??私だってもうお金持ってないのに!あんた馬鹿じゃない?ほんと馬鹿!!どうすんのよ!」


もの凄い剣幕で怒鳴り散らしながら今泉の持っているボトルを無理矢理奪い取ろうとする。


「飲みたくないんじゃないのか?」
「喉乾いてるの!仕方ないでしょ」


そう言って今泉の手からボトルを奪い取り、キャップを回した。
軽く回ったキャップに唖然としながら今泉を見る。


「ひと口飲んだ」
「!!!!!」


ニヤニヤとニヤつきながら顔を逸らす今泉の腕に、何度も何度もパンチを繰り出した。
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