LONG NOVEL

真昼のバトル (42/46)

「幹、購買行ってくるから先に行ってて」
「付き合おうか?」
「大丈夫。遅れるって綾ちゃんにも伝えといて」

幹と綾ちゃんと中庭でお昼しようと決めてたのに朝お昼ご飯を買い忘れてしまった。
幹には先に行っててもらい、私は一人購買へと急ぐ。

「ひゃ〜混んでる;」

想像してた通り、購買のパン売り場は人でごった返してる。が、どうやってでもパンをGETしなきゃならないので気合を入れて人の波に突撃した。

どうにか人気の板チョコパンをGETして人ごみから脱出した時、財布に付けていた某アニメの狙撃手ストラップが無い事に気が付いた。

「え?!!え?!無い!!どこ?落とした?どこで?・・・まさかのあの中?;」

ごった返してる人ごみの中、私の狙撃手は一体どうなっているのやら;
誰かに踏まれちゃってる?
原作の様にボロボロにされて傷だらけになって、自慢の長っ鼻も折れちゃってるかも;

そんな恐怖に駆られつつも、再びあの人ごみに入っていく勇気はない。
悲しいやら悔しいやら泣きたい気持ちのまま、人が掃けるのを待つしかなかった。

「なにそれ段竹。そんなの売ってた?」
「売り物じゃない。足に当たったから拾った」
「あ、これってさワンピ」

耳に飛び込んできたタイトルのワンフレーズ。

「それ私の!」
「「え?」」

私が指差しながら2人に迫り近づくと、ストラップを持ってた男子が一瞬たじろぐ。

「さっき落としたの。拾ってくれたんだ?ありがとう〜♪」
「いや・・」

前髪を逆立てた背の高い方の男子が私にストラップを渡そうとした瞬間、そばにいたオレンジ頭の男子が私の目の前で横取りした。

「ちょっと待て段竹!ほんとにその人が落としたっていう証拠がない。黙って渡すわけにはいかない」
「は?私のだってば」
「じゃあ証拠は?」
「証拠って;私のだもん」
「そんなんじゃ証拠にはならないんでこれは”今日の落し物ボックス”行きです」
「「はぁ??」」

落し物ボックスって何?!
今日のって何?!
私が落としたんだから私のだって言ってるのになんなのコイツ!

隣の男子も私同様呆れた顔してる。

「こいつの言う事は気にしないで」
「段竹!なんで渡すんだよ!証拠がないんだぞ」
「一差騒ぐな。はい、これ」
「え?あ、ありがと;」
「おいお前、受け取るな!証拠ないんだぞ!持っていくな!どろぼー!」

”だんちく”って呼ばれてる子が、暴れているオレンジ頭の男子の首根っこ掴んでぐいぐいと連れて行ってしまった。

「何なのあの子;一年生だよね?・・・面倒臭そうな子;」

受け取った狙撃手を再び財布に装着して、急いで中庭へと急いだ。




「名前こっち、遅かったね」
「ごめん遅くなって。ちょっとあってさ」
「ちょっとって何?」

今年も一緒のクラスになれなかった綾ちゃんの鋭い視線が痛い;

「え、いや、大した事ない、ほんと;」
「大した事じゃないですって顔してるけど?」
「ほんとほんと、なんでもないから、ほんと;」

じーっと私の顔を見てくる綾ちゃんからぎこちなく視線を逸らし、牛乳パックのストローを咥えた。

綾ちゃんにも幹にも言えるわけないよ、推しキャラストラップの話なんか;

「怪しい、なんか隠してるでしょ」
「・・・・;;」

いつまでこんな事続けるんだろう私。
いつかは小野田坂道みたいに誰にでもアニオタって事を言えるようになるのかな。

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