LONG NOVEL

お隣さん (23/46)

「はぁ、疲れた;」
「なんでお前が疲れるんだよ」
「応援するのだって疲れるんだよ、気持ち的に」
「名前の応援なんか全く聞こえてこなかったけど?」
「Σし、してたよずっと!聞こえない声でずっと・・;」


純太はふっと笑いながら家の門を開ける。


「今日はご苦労さん、また明日からよろしく、マネージャー」
「あの、純太!」
「ん?」
「体、痛いんでしょ?マッサージしてあげよっか?幹の見様見真似だけど」
「え?」
「め、迷惑ならいい、全然!ちょっと言ってみただけ」
「出来んの?」
「・・・上手く出来るかわからないけど」


夕食を済ませた後、マッサージに行く約束をした。
ほんと幹から教えて貰ったまんまの真似しか出来ないけど、自分でほぐすより楽だよ、少しは。

夕食を食べた後、一応ネットでやり方を大まかに調べてから純太の家へ向かった。


「こんばんわ」
「名前ちゃん久しぶり。純太のとこのマネージャーやってくれてるんだって?」
「はい、まだまだ入ったばかりで全然ですけど」


「ドアは開けて置いてね」とおばさんに言われ、そんなに今日暑いかな?なんて思いながら純太の部屋がある2階へ向かう。


「純太?」
「おお、ホントにやってくれるのな」
「上手じゃないかもだけど」
「初めから期待なんかしてねぇよ」
「は?」


机でノートに何かを書いてたらしく、ノートを閉じベットにうつぶせに寝転がった。


「宜しくお願いします」
「・・・はい;」


簡単にメモってきた手帳を見ながら太ももに手を伸ばした。


「!!!」
「え!?なに?;」


体を縮こませてぶはっと笑い転げる純太。


「そっとやるなよ、くすぐったいだろ」
「だって」
「ガンガンに力入れていいよ」
「うん・・わかった」


ベットの上に上がり込み太ももからふくらはぎ、足の裏まで力を入れて揉みほぐす。
座った状態から肩、首、腕を揉みほぐし、再び寝転がして背中を念入りにマッサージしていった。


「疲れたろ?」
「うん、超ー疲れた;そろそろいい?」
「サンキュ、だいぶ楽になった」


え?
汗だくで息まで切らせてここまでしたのにだいぶ楽?
どんだけ酷い状態になってんのよ;


首をぐるぐる回してる純太の姿をじっと見詰める。


「今日のレース」
「え?」
「どうだった?ああいうの見るの初めてだろ?」
「うん、びっくりした、すっごく」
「小野田の走り、凄いだろ?」


いつでも純太は自分より他人で、自分の事じゃなくて小野田坂道の事。
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