LONG NOVEL

自転車部への誘い (9/46)

「マネージャー?自転車部の?」
「そ。実は名前が総北に入学するって聞いた時から思ってたんだよな」
「え?」
「去年から寒咲がいるんだけどマネージャーの仕事って一人だと大変でさ。でも名前はアニ研入りたいって言ってたし」
「で、でもアニ研は・・」
「行くとこ無いって俺のとこ来るかなってちょっと期待してたんだけど、いつの間にテニス部入っちゃってた」
「だって純太何も言ってくれないから;相談するにも純太忙しそうだったし」
「誘ったら来てくれた?」
「・・・・・・うん」
「昔から全然興味無いだろ?ロードバイク」


驚いた。
純太が私の事を心配してくれてたなんて。

純太を追い掛けて総北に入ったけど、純太はいつも部活に忙しそうだったし、偶然会っても青八木先輩といつもいた。

中学を卒業した後自転車辞めるって言ってたはずなのに、結局辞めずに自転車乗ってるし。


「興味無いっていうか乗る機会なかったし・・純太も教えてくれなかったじゃない」
「興味あったのか?ロード」
「自転・・ロードに興味あるっていうか・・」


出来る事なら純太と同じ部に入りたかったんだよ、私;


「今入ってる部活を途中で辞めるっていうのは良くないってわかってるけど、名前あんまりテニス部楽しそうじゃねぇし、それにうちの部にはあの小野田がいる。親しくなれば名前の好きなアニメの話も出来るだろ?」


純太の言う通り1年半続けたテニス部は成り行きだった。
このままテニスを続けてても本当に欲しい友達なんか出来そうにないし、何も得るものが無いまま卒業なんて事に成りかねない。

もし自転車競技部に入ったら純太もいるし青八木先輩もいる。
今泉も赤髪くんも、そして小野田坂道がいる。


『ラブ☆ヒメ好きなの?』
『うん、大好き!』


さっきだってどれだけそう答えたかったか。


「名前、すぐ答えなんか出ないだろ?しばらく考えてから」
「純太」
「ん?」
「もし私が自転車部に入るって言ったら」
「入ってくれるのか?」
「えっと・・・その・・・私なんかでいいの?」
「本当に?!」


純太の嬉しそうな笑顔を前にして、自分の邪な気持ちの葛藤に心揺らいだ。
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