憂い、呪文、かけおち

2011/03/02 21:03


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核戦争から15年後のパリ郊外。植物も動物も絶えたがゆえの、肉屋に潜む最も人間らしい騒動。

核戦争を経た凄絶で生々しい世界はいかにもSF的な設定であるのに、女の子なら一度は夢みるようなセピア色の靄をまとった、レトロという言葉で表される世界がそこには広がっている。『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネの初の長編映画であると知ったら、納得するのかもしれぬ。目の悪い私は、ディスプレイにわざとピントを合わせずにその色合いだけを認識し、ああチョコレートファッジの色をしている、などと考えていた。幼いころの記憶、親戚か誰かからのヨーロッパ土産の、精巧な細工の施されたお菓子の箱を後生大事に取っておく気持ちがふいによみがえる。異国への畏怖と憧憬の入り混じった、あの気持ち。異国は異世界と同義であり、箱は魔法の箱でもあった。

ちょっぴりえぐい部分あり、盤によっては字幕が大変ひどいとの評判ですが、実験映画などお好みの方はどうぞ。



週に二三回ほどのペースで歯医者通いを続けている。私の保険証を見た衛生士さんは思案したようすで「もしかして御卒業ですか」と問うたので、私は頷いて、引っ越しまでに治療を終えてしまいたいとの旨を伝えた。そうだ、早く新居を探さねばならぬのだ。

今日は左上の前歯に麻酔を打っていただいたのだけど、鼻の頭あたりまで感覚が失われてしまって、くちびるとそうでない皮膚との境目が分からなくなってしまった。いつもならばリップバームを塗りつけるのに鏡を必要としないのに、少しはみ出しててらてらと間抜けに光ってしまっていたのが恥ずかしい。飲み物は美味く飲めずに口の端から零れてしまうし、ああもう、何も出来やしないね!と、落ち着かぬくちびるを撫でながら不貞寝をした。

次回は神経を抜くことになるという。



昨晩決行した、学校での鍋パーティののち、真夜中の学校探索。パーティは卒業まで毎週決行することになった笑



一度も入ったことのない他学部の棟のまわりをめぐる。夜中まで実験に勤しむところもあるようで、ちらちら照明が点いていたのであまり怖いものではなかった。工学系の研究棟は近未来チックで胸が高鳴ってしまう。





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