マホガニーのデスクの向こうに座って

2011/01/22 16:21


卒論も完成がいよいよ近くなり、何となく思い描いていたよりもそれは軽くて肌馴染みの良いものだったのだなあ、なんて考えている。もっとずしりと重みがあって、扱いに苦労して、硬質で、自分が生み出したものではない感覚が私の背に肩にのしかかるものだと思っていた。思うに、きっとそれは、知ではなかったのだ。学んだことは、重さとして認識されるのではなく、自らに溶け込んでしまうような分かち難いものでなければならない。

文学、社会学、心性史、宗教、歴史、哲学、その他。「つまらぬと思わせるような。退屈してしまうものは書かぬように」と忠告を与えた教授に「おもしろい」と言わしめたことは、今のところ一番の成果だと思っている笑 つきまぜて組み立てて生まれたものには、まだ穴がポツポツと空いている。それを撫ぜて撫ぜて、ちょっとだけ綺麗にする。そうして私は一月の最後の一週間を過ごすだろう。



前髪の毛流れが変わった気がしてならない。分け目を意識してからこのかた左に流しているのだけれど、朝起きて姿見を覗きこむと、前髪は僅かなうねりとともに右を向いている。試しに右向きに分け目を作ってみたらば、見知らぬ顔がそこにあった。人の顔は人が思っているほど対称ではないとはよく言ったもので、果たしてこれは本当に私であるのかと、寝ぼけまなこの成せる幻覚めいたものではないかと思うほどであった。流す必要があるほどの長さは落ち着かぬので、そのうちにばっつり断ち切ってしまうだろうが、さて三か月ほど美容室をご無沙汰しているのだ。野暮ったさと紙一重の重めロングにするか、またはいつもの如く市松人形にしてもらうか。



▼飲み物の入った容器をうっかり引き倒してしまい、中身をぶちまけるというイメージが頭を離れなくて、何だこれは、一種の強迫神経症だろうか。
▼それなりの店のお菓子の缶や箱は、お裁縫箱か救急箱という末路をたどる





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