PERSONA5 the FAKE | ナノ


02

彼の描いた絵は様々な表情を見せる。
日本画家でありながら、その枠にとらわれない自由で多彩な作品。今や日本を代表する画家の個展は、世間でも話題になっていた。

 *

例の門下生に指定された日は、斑目展の初日である日曜だった。
誘いを受けた杏をはじめとする怪盗団のメンバーが渋谷駅へと集合する。私服で会うのは先日の打ち上げ以来だ。
竜司が着ている紫のパーカーは彼の金髪によく似合っていた。黒いカーゴパンツもやんちゃな彼らしい。その隣で、水色のシャツに赤いジャケットという派手な色使いを見事に着こなしているのは杏だ。白いミニスカートから伸びる長い脚は黒タイツで更に引き締まって見えた。
派手な二人の隣にひっそりと立つ蓮は、白シャツにジーンズ、黒のジャケットというシンプルな服装だ。これもまた、この上なく彼らしさがある。

「あ、ごめんなさい…!」

謝罪の声と共に最後に集合場所へと来たのは咲だ。薄浅葱色をしたコクーンワンピースに白のデニムジャケットを肩に掛けた姿は、制服の時よりも大人っぽく、上品な彼女らしい格好だった。

「じゃあ行こう。班目の事も探りたい」

今日、斑目展に行くのには、門下生の彼にチケットを貰ったからという事の他にもう一つ理由がある。
怪盗団は先日、モルガナの案内で『メメントス』という異世界に潜り込んでいた。
モルガナの説明曰く、メメントスは“大衆のパレス”らしい。一人でパレスを持つほどまで強くはないが、心に歪みを持った人のシャドウが集まる異世界である。暗い地下鉄を模した空間がどこまでも続いていて、そこに歪んだ人格のシャドウが現れるのだ。
そして、メメントスにいたある人物のシャドウから「マダラメを改心させてほしい」という言葉を聞いていた。今日は、その『マダラメ』という人物が、日本美術界の巨匠…斑目一流斎であるのかを探るつもりだった。


prev / next

[ back to list ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -