PERSONA5 the FAKE | ナノ


06

話を聞いた祐介は、案の定苦い顔をした。
「一方的だな…」
「あーもう、ムカつく!咲が言い返してくれなかったら引っ叩くとこだった!」
杏は怒りが収まらないのか、額に手を当ててむくれている。
「しかしマフィアとは…」
これまでとは違い、相手が大きすぎる。それに犯罪組織となれば、敵はボスだけではなく他にもいる筈だ。
「やるにしても、相手の情報が少なすぎる。犯罪に手を染めてる輩どものボスだ。パレス持ちでもおかしくはないが」
モルガナの言葉に皆考え込む。あと2週間でボスの正体をつきとめ改心させなければならない。
「けど、いいチャンスなんじゃないか?」
「どこが!?超大ピンチでしょ!」
マイペースな祐介に杏がツッコミを入れるが、彼はそのまま話を続けた。
「善人面した悪人を懲らしめても、世間は俺たちを認めなかった。しかし、れっきとした犯罪者を…それも警察が手を焼く大物を懲らしめれば…」
「そっか!みんな信じてくれるかも!」
「なるほど、あの明智にも、俺たちが正義の怪盗団だって認めさせられるワケか!」
祐介の言うように、これを“チャンス”と考えればいい。杏も竜司も納得したのか明るい表情を取り戻した。あとはリーダーがどう考えるかだ。皆の注目を受けて、蓮は静かに頷いた。
「ああ。正義を示すしかない」
「そうだね」
それに応えるように咲も目を閉じて微笑む。多くを言わないのは、彼への“信頼”の表れだ。
「期限は二週間だったな。あまりノンビリもできないだろう。俺はうちの学校に被害者がいないか、聞き込みしてこよう」
「私も、渋谷に出入りしてる子にそのへん聞いてみる」
「じゃあ俺、ネット片っ端から見るわ」
「となると、俺と咲で学校の聞き込みかな。女子周辺を頼める?」
「もちろん。明日から探ってみる」
「ワガハイもフォローしてやるぜ」
行動の早さとチームワークは流石怪盗団と言ったところだ。全員が同じ方向を向いたところで、新しいスタートを切る。
「よし、じゃあ情報持ち寄って、週末の金曜辺りに集まろうぜ」
状況は明らかに悪いのに、少年たちの表情は明るかった。
この仲間とならなんでも出来てしまうような気がしている。根拠のない自信と言ってしまえばその通りだが、不可能を可能に変えるトリックスターがここにはいた。
無自覚に盲信してしまうほどの影響力を持ったリーダーがいた。


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