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しかし、此方を煽るような悟空の言にて、自制心でそれを抑圧しようとした試みも虚しく、膨張する結果と成り果てるが。

「冗談じゃねえ。いつもオラのこと、腹んナカまで食い散らかしていくクセに……よく言うぜ」

無傷な片腕が、ベジータの後頭部を抱き寄せる。
熱っぽい吐息が肌を掠める程に近距離で、日常や戦場なんかでは決して拝聴の出来ぬ、艶めかしい囁きが響いた。

「そんなにヤリてえんならさ、責任持ってイカせてくれよ?一人で楽しむだけなんて、オラ許さねえからな」

ぞくぞくと背筋が粟立つ感覚。唯一無二の同族が放つ濃厚な色香を、優れた嗅覚が捉え興奮を促される。
挑発的な悟空の声は、ベジータにとって最高の媚薬だ。
知らず口角が吊り上がった。

「ふっ、誰にものを言ってやがる?覚えておけ。てめえが無様に痴態を曝け出し、よがり狂うザマを特等席で拝むことがオレさまの楽しみなんだ」

やっぱりおめえ悪趣味だな。
苦笑混じりに発せられた言葉は、ベジータの唇に吸い込まれ融け消えた。
不意に、破り捨てられた布地がぼんやりとする悟空の視界に映り込む。
無意識の連鎖で、柳眉を逆立てた妻の顔が脳裏へ浮かんだけれど。
悟空は「まあいっか」と楽天家らしい呟きを零しつつ、目先のキモチヨサを優先させた。
良くないことだと理解はしていても。





すると、いつの間にか帰りしなに着る服が無くなっているではないか。
不用意に着衣のまま激しいセックスをした結果、体中汗やら何やらでベトベトな悟空は苦り切る。
勿論、彼愛用の道着や下着も名状し難い有り様だ。

「……あのよぉ、ベジータ。このまま帰ったらオラ、ぜってえチチに殺されっぞ」
「……」

恨みがましく唇を尖らせて睥睨したが、頑なに顔を背けるベジータへの効果は余り期待出来そうもない。
諦めて悟空は物憂げな息を吐くと、特徴的なその黒髪をわしわしと掻いた。

「いや、結局流されちまったオラも悪ぃし、おめえだけを責める気はねえさ。……ただ」
「……」
「脱がすのめんどくせえからって、パンツ破って突っ込むのやめてくれっつったよな?このまま帰ったらオラ、カンっっペキに変態じゃねえかああ!」

悟空は激昂した。珍しく。
第一、このような如何にも「犯されました」な格好をした青年が外をうろつけば、まず変態どころの騒ぎでは落ち着くまい。







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