2 「どうした、悟飯?食わねぇんか??」 卓に就いて物の数分もすれば、こんもりと置かれた食物も見る見るうちに無くなっていく。 一体何処にそれ程の量が収まるのか。 父親の豪快な食べっぷりには、知ってはいてもついつい呆気に取られてしまう。 然れども、悟飯が食べ物に手を付けなかった理由はまた違っていたのだが。 「悟飯?」 「あ……僕、何だか胸がいっぱいで」 「?変なヤツだなー。おめぇが食わねぇんだったら、オラが全部食っちまうかんな!」 「た、食べます!」 とうとう自分の分にまで手を伸ばし始めた父親を制するようにして、悟飯は食事を再開する。 空腹じゃない訳では無かったのか、食べ始めれば悟空に負けない勢いで眼前の食料を胃に収めて行った。 こんな時間が長く続けば良いのに。 子供は父親との共同生活を愛おしんだ。 (お父さんがいれば……お父さんと一緒にいられるなら、僕はいつだって幸せなんだ) 母親に対する愛。 師匠や仲間達に感じる愛。 だけれど、父親への愛情はそのどれにも当たらない特別な物だと知っていた。 ただ、目の前で少年の如く無邪気に笑うこの人が幸せである事を願う。 全力で守りたい、その微笑みを。 彼を守るだけの力が欲しい。 だから。 (僕は、戦う!) end 食事シーンは一応アニメ設定で。 |
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